旅行業の新規登録申請完全ガイド【2026年最新】第2種・第3種・地域限定の申請書類・手続き・費用と旅行業務取扱管理者の選任要件を徹底解説

旅行業を開業するには、旅行業法第3条に基づく登録が必要です。種別によって申請先・必要書類・財産的基礎の要件が異なるため、準備不足のまま申請すると受理されないリスクがあります。本記事では、第2種・第3種・地域限定旅行業の新規登録申請に必要な知識を、旅行業務取扱管理者の選任要件・営業保証金・手続きの流れまで体系的に解説します。(2026年9月時点)

旅行業の新規登録申請完全ガイド【2026年最新】第2種・第3種・地域限定の申請書類・手続き・費用と旅行業務取扱管理者の選任要件を徹底解説 - 解説

目次

旅行業登録制度の概要

旅行業を営むために登録が必要な理由

旅行業法第3条は、旅行業を営もうとする者は観光庁長官または都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。この登録制度は旅行者の保護を目的としており、無登録で旅行業を営んだ場合は同法第74条により罰則の対象となります。旅行業は旅行者が前払いで大金を支払う業態であることから、事業者の財産的基礎・信用・コンプライアンス体制を事前に確認する仕組みが設けられています。

登録は一度取得すれば永続するものではなく、有効期間が5年と定められています(法第6条の2第1項)。開業後も継続して旅行業を運営するためには、有効期間満了前に更新登録を行う必要があります。更新を怠ると登録の効力が失われ、事実上の無登録営業状態となるため注意が必要です。

登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)の概要と選び方

旅行業の登録種別は、取り扱える旅行の範囲によって第1種・第2種・第3種・地域限定の4種別に区分されています(施行規則第1条の3)。開業を検討している事業分野に合わせて適切な種別を選択することが重要です。海外募集型企画旅行を自社で企画・販売したい場合は第1種が必要ですが、国内旅行に特化した手配旅行・受注型企画旅行のみであれば第3種や地域限定での登録が現実的な選択肢となります。

スモールスタートで旅行業に参入する場合は第3種または地域限定から始め、事業拡大に応じて種別変更(変更登録)を行う方法が一般的です。地域限定旅行業は拠点区域内の本邦内旅行に限られますが、財産的基礎の要件が他の種別と比較して低く設定されており、着地型観光の企画・販売を地域密着で展開したい事業者に適しています。種別の選択は開業後の事業計画に直結するため、事前に将来的な取扱範囲も含めて検討することが望まれます。

申請先の区分|第1種は観光庁長官、それ以外は都道府県知事

第1種旅行業の申請先

第1種旅行業の登録は観光庁長官に申請します(法第3条)。海外向け募集型企画旅行を自社で企画・販売できる唯一の種別であることから、登録要件も最も厳しく設定されています。申請書類は観光庁のウェブサイトで公開されている様式を使用し、必要書類を揃えて観光庁に提出します。第1種旅行業を目指す場合は、基準資産額3,000万円(施行規則第3条第1号)・営業保証金7,000万円(前事業年度の取引額400万円未満の場合の最低額、施行規則別表第一)という高い財産的要件を満たす必要があります。

なお、第1種旅行業の登録を受けた者が本邦外の募集型企画旅行を行う場合は、前事業年度における本邦外の募集型企画旅行に係る取引額に応じて別表第二の額が加算されます。ただし当該取引額が8億円未満の場合は加算額が0円となるため、新規登録時の営業保証金の最低額は7,000万円となります。第1種旅行業は設立費用も含めた総資金計画を綿密に立てたうえで登録申請を検討することが重要です。

第2種・第3種・地域限定旅行業の申請先

第2種・第3種・地域限定旅行業の登録は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請します(法第3条)。都道府県庁の観光部門や商工部門が窓口となっている場合が多く、各都道府県によって手続き細則や提出書類の詳細が異なる場合があるため、事前に管轄窓口へ問い合わせることを推奨します。

複数の都道府県にまたがって営業所を設ける場合は、その旨が登録申請の内容に影響することがあります。主たる営業所の都道府県知事に申請する点は変わりませんが、書類上の営業所一覧や管理体制の記載が必要となるため、申請前に管轄窓口と調整することが重要です。

登録の事前要件|財産的基礎と旅行業務取扱管理者の選任

基準資産額(財産的基礎)の要件

旅行業の登録を受けるには、申請時点で一定の財産的基礎(基準資産額)を備えていなければなりません(法第6条第1項第10号、施行規則第3条)。基準資産額とは、直近の貸借対照表における資産の合計額から負債の合計額を控除した金額がおおむね下表の金額を上回ることを指します(2026年9月時点・施行規則第3条)。

登録種別 基準資産額
第1種旅行業 3,000万円
第2種旅行業 700万円
第3種旅行業 300万円
地域限定旅行業 100万円

なお、基準資産額は営業保証金とは別の概念です。「第2種の営業保証金は700万円」というのは誤りであり、700万円は基準資産額(施行規則第3条第2号)、第2種の営業保証金の最低額は1,100万円(施行規則別表第一)です。両者を混同しないよう注意が必要です。新規法人設立の場合、設立時の資本金がこの基準を充たす目安となりますが、設立費用等の処理方法によって実際の純資産額が変動するため、顧問税理士・公認会計士と連携しながら正確な数値を把握することが重要です。

旅行業務取扱管理者の選任要件

旅行業の登録には、各営業所に1名以上の旅行業務取扱管理者を選任していることが求められます(法第11条の2第1項)。選任基準は「その営業所が取り扱う旅行の範囲」によって法第11条の2第6項が3区分を定めており、登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)ではなく、その営業所の取扱内容で判断します。

具体的には、①海外を含む旅行を取り扱う営業所は総合旅行業務取扱管理者、②拠点区域を超える本邦内の旅行を取り扱う営業所は国内または総合旅行業務取扱管理者、③拠点区域内の本邦内旅行のみの営業所は地域限定・国内・総合旅行業務取扱管理者のいずれでも選任可能です。例として、第1種旅行業者であっても、本邦内の旅行のみを取り扱う営業所であれば国内旅行業務取扱管理者を選任できます。

「拠点区域」とは施行規則第10条の5が定める区域で、「自らの営業所の存する市町村の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域」を指します(施行規則第1条の3第1項第3号)。地域限定旅行業の営業所は、この拠点区域内の本邦内旅行のみを取り扱う形態です。地域密着型で着地型観光を展開する営業所が拠点区域内の本邦内旅行のみを取り扱う形態(法第11条の2第6項第1号)であれば、地域限定旅行業務取扱管理者(受験手数料5,500円・2026年9月時点)でも選任要件を充たすことができます。

旅行業務取扱管理者の選任義務の名宛人は事業者(旅行業者等)です(法第11条の2第1項)。選任を怠った場合、登録拒否(法第6条第1項第9号)・契約締結禁止(同条第2項)・30万円以下の罰金(法第79条第3号・第4号)といった制裁が事業者に及びます。資格取得に要する期間を逆算し、登録申請の前から計画的に資格者を確保することが重要です。

登録申請に必要な書類と手続きの流れ

申請に必要な主な書類

登録申請に必要な書類は申請先(観光庁・都道府県)によって詳細が異なりますが、一般的に求められる書類の種類は概ね共通しています。以下のチェックリストを参考に準備を進めてください(最新の様式・必要書類は必ず申請先の窓口に確認してください)。

  • 旅行業登録申請書(所定の様式)
  • 定款(法人の場合)または住民票(個人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合・発行後3か月以内のもの)
  • 役員全員の住民票・履歴書
  • 欠格事由に該当しないことの誓約書
  • 直近の貸借対照表(財産的基礎の確認・基準資産額の充足確認)
  • 旅行業務取扱管理者の試験合格証明書(コピー)
  • 旅行業務取扱管理者の選任を証する書面(辞令・雇用契約書等)
  • 営業所の平面図・写真・賃貸借契約書(または登記簿)
  • 業務の適正な運営のための管理・監督体制を記した書類(組織図・業務規程等)

申請から登録完了・開業までの流れ

登録申請は窓口へ書類を提出することから始まります。提出後、行政庁による審査が行われ、登録要件を充たしていると判断されると登録通知が交付されます。審査期間は都道府県によって異なりますが、提出書類に不備がなければ数週間から数か月程度が一般的です。審査中に書類の補正を求められることもあるため、事前相談の活用と書類の正確な作成が重要です。

登録通知の受領後は、営業保証金の供託(または旅行業協会への加入と弁済業務保証金分担金の納付)を経て初めて旅行業務を開始できます。営業保証金の準備は登録申請と並行して段取りを進めておくと、開業までのスケジュールを短縮できます。登録証が交付されたら営業所内の見やすい場所に旅行業者標識を掲示し、旅行業法上の各種書面交付義務や広告規制を遵守した形で営業を開始します。

開業準備の目安として、旅行業登録完了から実際の営業開始まで以下の工程が必要です。まず旅行業約款の認可申請(標準旅行業約款を使用する場合は不要)、旅行業者標識の作成と掲示、取引条件説明書の書式整備、旅行業務を取り扱う際の書面の様式確認などが挙げられます。また、旅行業を開始する前に旅行業協会への加入完了・分担金の納付が済んでいることを確認してから初めて旅行者との契約締結業務を開始できます。

営業保証金と弁済業務保証金分担金の準備

登録種別ごとの営業保証金の額

旅行業の登録には営業保証金の供託が必要です(法第8条第1項、施行規則第7条・別表第一)。営業保証金の額は前事業年度の旅行者との取引額によって逓増する仕組みです。新規登録時は前事業年度の取引実績がないため、最低額が適用されます。下表は取引額400万円未満の場合の最低額です(2026年9月時点・施行規則別表第一)。

登録種別 営業保証金(最低額) 弁済業務保証金分担金(営業保証金÷5)
第1種旅行業 7,000万円 1,400万円
第2種旅行業 1,100万円 220万円
第3種旅行業 300万円 60万円
地域限定旅行業 15万円(取引額400万円未満) 3万円

地域限定旅行業の営業保証金は、取引額400万円未満の場合の法定最低額が15万円です(施行規則別表第一)。なお取引額が400万円以上5,000万円未満になると100万円に増額されます。「地域限定は一律100万円」と記載された情報もありますが、最低額の15万円から逓増する仕組みであることに注意してください(2026年9月時点)。

旅行業協会への加入と弁済業務保証金分担金のメリット

JATA(日本旅行業協会)またはANTA(全国旅行業協会)に加入することで、営業保証金の全額を供託する代わりに、営業保証金の5分の1に当たる弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付することで済ませることができます(法第49条第1項)。第3種旅行業であれば300万円の供託が60万円の分担金に抑えられるため、開業資金の大幅な節約となります。

旅行業協会は観光庁長官が指定する団体であり(法第41条第1項)、JATAは主に大手・中堅の旅行業者、ANTAは中小の旅行業者を中心に構成されています。加入にあたっては協会の審査・入会金・年会費が別途必要です。弁済業務保証金分担金による資金的な節約効果に加え、業界情報の入手・苦情処理サポート・研修機会の提供といった付帯メリットもあります。

登録の有効期間と更新手続き

5年ごとの更新登録

旅行業の登録有効期間は5年です(法第6条の2第1項)。有効期間満了後も旅行業を継続するには、満了前に更新登録の申請を行い、あらためて登録審査を通過する必要があります。更新時も新規登録と同様に財産的基礎・旅行業務取扱管理者の選任状況等が審査されるため、要件を継続的に充たしている必要があります。更新申請の受付時期は申請先によって異なるため、登録後早期に次回更新のスケジュールを社内カレンダーに記録しておくことを推奨します。

更新登録の申請に必要な書類は新規登録と概ね同様ですが、直近事業年度の財務諸表・前年度の取引額に関する資料など、事業実績を示す書類が追加される場合があります。また取引額の増加によって営業保証金の追加供託(または追加の弁済業務保証金分担金の納付)が必要となる場合もあるため、毎事業年度終了後に取引額と保証金額を照合する習慣を持つことを推奨します。

更新を忘れた場合のリスクと失効後の対応

登録の有効期間が満了した後も旅行業務を継続した場合、無登録営業として旅行業法上の罰則対象となります。更新申請を失念することがないよう、社内で有効期間の管理体制を整えることが重要です。有効期間が迫ってから書類を準備すると間に合わない場合もあるため、満了の6か月前には更新準備を開始することを推奨します。万が一登録が失効した場合は、あらためて新規登録申請を行う必要があります。

更新を忘れた場合の実務的な影響は深刻です。登録が失効した状態でウェブサイトや店頭で旅行商品の募集広告を出し続けることも無登録営業として問題となります。顧客との間で締結済みの旅行契約についても、登録失効後は法的な保護が著しく弱まるため、事業者・旅行者双方に重大なリスクが生じます。有効期間の管理は、旅行業コンプライアンスの基本事項の一つです。

欠格事由|登録を受けられないケース

主な欠格事由の内容

旅行業法第6条第1項は登録の欠格事由を定めており、これらに該当する場合は登録を受けることができません。法人の場合は役員の一人でも欠格事由に該当すると登録が拒否されるため(同第3号・第4号)、役員就任時には事前確認が必要です。

  • 旅行業法に違反して登録取消を受け、5年を経過していない者(法第6条第1項第5号)
  • 禁錮以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過していない者(同第6号)
  • 旅行業法等の関係法令で定める罰金刑に処せられ、執行終了から5年を経過していない者
  • 成年被後見人・被保佐人(同第1号・第2号)
  • 旅行業務取扱管理者を各営業所に選任していない状態で申請する者(同第9号)
  • 財産的基礎(基準資産額)を有していない者(同第10号)

欠格事由の確認は申請書類に誓約書として含まれる場合が多く、虚偽の誓約を行った場合は別途法令上の問題が生じます。特に法人化して旅行業を開始する際、設立時の役員構成を決める段階で各役員について確認しておくことが、後の申請トラブルを防ぐ実務的なポイントです。外部からの役員招聘を検討している場合も、就任前に欠格事由に該当しないかを確認する手順を社内フローに組み込むことを推奨します。

旅行業の新規登録申請完全ガイド【2026年最新】第2種・第3種・地域限定の申請書類・手続き・費用と旅行業務取扱管理者の選任要件を徹底解説 - まとめ

登録後に生じる継続義務

変更登録・変更届出の必要性

旅行業の登録後、営業所の住所変更・商号変更・代表者変更・取扱旅行業務範囲の変更など、登録事項に変動が生じた場合は変更登録または変更届出が必要です(法第9条・第11条)。変更の種類によって手続き区分が異なり、届出を要する事項については原則として変更後30日以内の届出が求められます。届出漏れは法令違反となるため、社内に異動・変更管理のフローを整備することが重要です。

変更登録が必要な主な事項には、取扱旅行業務の範囲の変更(例:第3種から第2種への種別変更)が含まれます。種別変更を行う場合はあらためて変更後の種別に対応する基準資産額・営業保証金要件を充たすことが必要です。たとえば第3種から第2種への変更では、基準資産額が300万円から700万円に、営業保証金が300万円から1,100万円(最低額)に引き上げられるため、財務的な準備を先行させることが実務上の留意点です(2026年9月時点・施行規則第3条・別表第一)。

旅行業者標識の掲示・書面交付義務の継続遵守

登録後は旅行業法上の各種義務を継続的に遵守する必要があります。主な義務として、旅行者への取引条件説明書・旅行業約款に基づく書面の交付(法第12条・第12条の4)、誇大広告の禁止(法第12条の7)、旅行業者標識の掲示(法第12条の8)、旅行業務取扱管理者の選任維持などがあります。旅行業務取扱管理者が退職等により不在となった場合、新たに選任するまでの間は旅行業務の契約締結ができなくなります(法第11条の2第2項)。採用・育成の観点からも資格者の計画的な確保を心がけることが、開業後の安定経営につながります。

特に書面交付義務は旅行業法の中核的な消費者保護規制であり、インターネット販売においても電子書面の交付(旅行者の承諾が必要)が認められています。旅行業登録後は旅行業約款の整備・掲示・旅行者への説明体制を整えた上で営業を開始することが、旅行者からの信頼確保と法的リスクの低減につながります。旅行業を営む事業者として、旅行業法の改正動向を定期的に確認し、法令遵守の姿勢を継続的に維持することが求められます。

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