旅行業務取扱管理者試験 副業・複業での旅行業活用完全ガイド【2026年最新】本業を続けながら旅行商品を企画・販売する方法と旅行業登録の手続き

副業・複業が一般化した現代、旅行が好きな方や旅行業界に興味がある方にとって「旅行業務取扱管理者資格を取って、旅行業を副業で始めたい」という目標は現実的な選択肢になっています。しかし旅行業は免許制の業種であり、無登録での旅行商品販売は旅行業法違反になります。本記事では、旅行業務取扱管理者資格を取得してから副業・複業として旅行業を開業するまでの流れを、法的な手続き・費用・収益モデルも含めて2026年最新情報をもとに詳しく解説します。

目次

副業で旅行業を始めるための法的基礎知識

旅行業登録なしで旅行商品を販売すると違法になる

旅行業法は「報酬を得て旅行者のために運送・宿泊のサービスを手配する行為」を旅行業と定義し、旅行業を営むには観光庁長官または都道府県知事への登録が義務づけられています。無登録で旅行商品を企画・販売した場合は旅行業法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。個人であっても組織であっても同様です。

よくある誤解として「友人のために旅行の手配を代わりにするだけなら問題ない」というものがありますが、「報酬を得る」行為が伴えば旅行業法の適用対象になります。旅行代金に手数料を上乗せする、交通・宿泊のアレンジ費用として別途受け取るといった形でも同様です。副業として旅行関連サービスを有償で提供するには、旅行業登録が前提となります。

旅行業法が定める4区分と副業に適した区分

旅行業の登録区分は第1種・第2種・第3種・地域限定旅行業の4種類があり、それぞれ扱える旅行の範囲と必要な営業保証金が異なります。副業・個人開業の文脈で現実的な選択肢は「第3種旅行業」と「地域限定旅行業」の2つです。

第3種旅行業は募集型企画旅行を国内旅行のみ(自社企画・自社販売)取り扱えるほか、受注型企画旅行・手配旅行は国内外を問わず扱えます。営業保証金は300万円(旅行業協会加盟で弁済業務保証金分担金15万円に低減)です。地域限定旅行業は営業所所在の都道府県および隣接都道府県の着地型旅行に特化した区分で、営業保証金が100万円(旅行業協会加盟で弁済業務保証金分担金3万円)と最も少額です。副業として小さく始めるには地域限定旅行業が最も参入しやすいといえます。

個人事業主・法人どちらで登録するか

旅行業登録は法人のみならず個人事業主でも申請できます。副業として始める場合、まずは個人事業主として開業届を税務署に提出し、個人名義で旅行業登録を行う方法が手続きの手間が少なく費用も抑えられます。法人(合同会社・株式会社)として設立してから登録する場合は、設立費用(合同会社で約6万円、株式会社で約20万円)が追加でかかります。収益規模が大きくなってから法人化を検討するのが現実的です。

なお、勤務先が副業・兼業を禁止または届出制としている場合、個人事業主として登録・開業することが就業規則違反になる可能性があります。旅行業登録の前に必ず就業規則を確認し、必要であれば事前に勤務先への届出・申請を行ってください。副業を容認している企業でも、競業避止義務(同業他社への転職・事業起業の禁止)の対象とならないかを確認することも重要です。

旅行業務取扱管理者資格が副業旅行業に必要な理由

各営業所への選任が旅行業登録の必須条件

旅行業法は「旅行業者は各営業所に旅行業務取扱管理者を1名以上選任しなければならない」と定めています。営業所に選任管理者がいない状態は旅行業法違反であり、業務改善命令・業務停止・登録取消の行政処分対象になります。したがって旅行業登録を申請する際には、選任する管理者の資格証明書を添付することが求められます。

副業として一人で旅行業を始める場合、自分自身が旅行業務取扱管理者の資格を持ち、自分が管理者として選任されれば、専任の管理者を別途雇用する必要がなくなります。管理者採用コストゼロで登録・運営できることは、副業・小規模開業において極めて重要なコストメリットです。

登録区分に合わせて必要な資格が異なる

地域限定旅行業の管理者には「地域限定旅行業務取扱管理者」または「国内旅行業務取扱管理者」または「総合旅行業務取扱管理者」のいずれかが必要です。第3種旅行業の管理者には「国内旅行業務取扱管理者」または「総合旅行業務取扱管理者」が必要です。海外旅行を扱う第2種・第1種では「総合旅行業務取扱管理者」が必要です。

副業で地域限定旅行業から始めるなら、地域限定旅行業務取扱管理者(毎年10月実施・難易度比較的低め)または国内旅行業務取扱管理者(毎年9月実施)のどちらかを取得することで開業条件を満たせます。将来的に扱う旅行範囲を広げたい・第3種以上に区分変更したい場合は、国内旅行業務取扱管理者または総合旅行業務取扱管理者を取得しておくと柔軟性が高まります。

副業での旅行業開業に「国内旅行業務取扱管理者」をすすめる理由

国内旅行業務取扱管理者は、地域限定旅行業・第3種旅行業どちらの管理者にもなれるため、副業の成長に合わせて登録区分を変更できます。合格に必要な学習時間は150時間~200時間程度で、通信講座と過去問演習を組み合わせることで社会人でも3か月~6か月で取得を目指せます。受験料は5,800円(2026年現在)と比較的低コストで挑戦できます。地域限定旅行業務取扱管理者よりも試験の認知度・実績が高く、将来の区分変更時にも使い回せる点が副業開業者にとって最もコスパの高い選択です。

副業旅行業の開業ステップ完全解説

STEP1:旅行業務取扱管理者資格の取得

まず旅行業務取扱管理者の資格取得から始めます。国内旅行業務取扱管理者試験は毎年9月第1日曜日に全国各地で実施され、6月上旬からANTA(全国旅行業協会)公式サイトで申込が始まります。科目は「旅行業法令」「標準旅行業約款」「国内旅行実務(JR運賃計算・宿泊約款・国内地理等)」の3科目で、各科目6割以上の正答率が合格の目安です。

独学で挑戦する場合は市販のテキストと過去問題集を軸に学習を進めます。スマートフォン対応のeラーニング型通信講座(ユーキャン・フォーサイト・スタディング等)を利用すると、通勤・昼休みの隙間時間を活用でき、本業を持ちながらでも無理なく学習を続けられます。費用は独学で5,000円~10,000円程度(テキスト・問題集代のみ)、通信講座で3万円~6万円程度です。

STEP2:旅行業登録の申請手続き

資格取得後、旅行業登録申請を行います。地域限定旅行業・第3種旅行業は都道府県知事への申請です(第2種以上は観光庁長官)。申請先は事業所(営業所)の所在する都道府県の観光振興・産業振興担当窓口となります。申請書類は都道府県ごとに様式が定められており、各都道府県の観光部局ウェブサイトで入手できます。

主な提出書類は、旅行業登録申請書・事業計画書(旅行の種類・取り扱う旅行の内容等)・旅行業務取扱管理者の選任届と資格証明書・営業所の平面図・個人事業主の場合は住民票と身分証明書などです。申請から登録通知(登録証)が交付されるまで30日~60日程度かかります。登録が完了するまで旅行業の営業はできないため、資格取得後に早めに申請手続きを進めることが重要です。

STEP3:営業保証金の供託または旅行業協会加盟

旅行業登録には、旅行者保護を目的とした営業保証金の供託が必要です。地域限定旅行業は100万円を法務局に供託します。供託には現金のほか国債・地方債等の有価証券での代替も可能です。一方、ANTA(全国旅行業協会)またはJATA(日本旅行業協会)に加盟すれば弁済業務保証金分担金として地域限定旅行業で3万円を協会に納付するだけで済み、100万円の供託が免除されます。

副業・個人開業では資金力が限られることが多いため、旅行業協会への加盟(ANTAの年会費は約4万円程度)を活用することで初期費用を大幅に抑えられます。加盟することで協会主催の研修・商品素材の共同仕入れ・業界ネットワークなど副次的なメリットも得られます。

STEP4:標準旅行業約款の整備と旅行代金の掲示義務

旅行業登録後、営業を開始する前に標準旅行業約款を整備し、取引条件説明書面・旅行日程表などの書面フォーマットを用意します。旅行業法は旅行業者に対して「取引条件の説明義務」「旅行開始前の書面交付義務」「旅行業務取扱料金の掲示義務」などを課しています。これらは旅行業務取扱管理者試験で学ぶ内容がそのまま実務に直結する部分です。

副業開業者はウェブサイトやSNSを活用して旅行商品を告知・販売するケースが多くなっています。旅行業法の広告規制(誇大広告の禁止・取消料の明示義務等)を遵守したウェブ上の販売ページを整備することが法令コンプライアンスの観点からも不可欠です。

項目 地域限定旅行業(ANTA加盟) 第3種旅行業(ANTA加盟)
営業保証金(供託不要・分担金のみ) 3万円 15万円
ANTA年会費(目安) 約4万円/年 約4万円/年
登録申請手数料(都道府県ごと異なる) 約1万5千円前後 約1万5千円前後
扱える募集型企画旅行の範囲 着地型観光(隣接都道府県まで) 国内全域
受注型企画旅行・手配旅行 着地型観光の範囲内 国内外

副業旅行業の現実的な収益モデル

手配旅行・受注型企画旅行での旅行業務取扱料金

副業旅行業でまず取り組みやすいのは「手配旅行」と「受注型企画旅行」です。手配旅行は顧客の依頼に応じて交通・宿泊を手配し、旅行業務取扱料金(手数料)を受け取る形態です。受注型企画旅行は顧客の要望に基づいてプランを設計・手配し、旅行代金と旅行業務取扱料金を収受します。いずれも最小限の在庫リスクで始められるため、資本力に限りのある副業開業者に向いています。

旅行業務取扱料金は旅行業法上、事務所の見やすい場所への掲示が義務づけられています。料金設定の目安は、宿泊手配で1件あたり2,000円~5,000円、国内ツアー手配で1件あたり5,000円~15,000円程度が一般的です。月に5件~10件の手配を受けられれば、副業として月3万円~10万円の収入を見込めます。

着地型観光・体験ツアーでの差別化戦略

副業旅行業が大手旅行会社と差別化できる強みは「ニッチな専門性」と「地域密着」にあります。特定の趣味・テーマ(登山・サイクリング・食文化・歴史・アニメ聖地巡礼等)に特化したツアー、地域限定旅行業の枠組みを活かした地元の食・農・文化体験型ツアー、外国語対応のインバウンド向け小規模ツアーなどは、大手が手を出しにくい小ロット・高付加価値の商品として成立しやすいモデルです。

地域限定旅行業であれば、自分が住む地域の魅力を活かして旅行商品を作ることができます。地元の農家・旅館・体験施設と直接提携し、他にはない独自コンテンツを持つツアーは口コミやSNSでの拡散によって安定的な集客につながります。旅行業務取扱管理者として学んだ法令・約款の知識は、地元事業者との取引条件整備においても直接活かせます。

勤務先の副業禁止・制限への対処

日本では多くの企業が就業規則で副業・兼業を禁止または届出制としています。旅行業登録は個人事業主として行う公的手続きであり、官報への掲載はされませんが、地元メディア・SNSでの宣伝活動が勤務先に知られる可能性はあります。副業解禁の会社でも「競業避止義務」の観点から旅行会社に勤務している方が旅行業の副業を始めることへの制限が設けられている場合があります。勤務先の就業規則を精査し、必要に応じて事前に副業申請・届出を行うことが先決です。

副業解禁の流れを受け、旅行業を副業として認めている企業は増えていますが、本業に影響が出ない範囲での管理(週末・休日のみの受注に絞る、業務量を月10時間以内にとどめる等)が継続の鍵になります。旅行業務取扱管理者研修(5年ごと)・ANTA年会費の納付など、継続的な義務も事前に把握しておきましょう。

試験合格から副業開業までの学習・開業スケジュール

国内旅行業務取扱管理者試験9月合格→翌春開業のモデルプラン

4月から学習を開始し、9月の国内旅行業務取扱管理者試験に合格した場合、合格証書の受け取りが10月~11月頃になります。その後、11月~12月に旅行業登録申請書類の準備・提出を行い、年明け1月~2月に登録完了・開業という流れが標準的です。試験合格から実際に旅行商品を販売開始するまでおよそ4か月~5か月かかる計算です。

開業初年度は本業と並行しながら少量の受注から始め、顧客・取引先・オペレーションの仕組みを整えることに集中します。年間10件~30件の実績を積みながらトラブル対応の経験を積むことで、旅行業者としての実務力が身につきます。2年目以降、需要が安定してきた段階で法人化・拡大を検討するのが無理のない成長ステップです。

総合旅行業務取扱管理者まで取得すると広がる世界

国内旅行業務取扱管理者で副業スタートした後、総合旅行業務取扱管理者(毎年10月実施)を追加取得すると、海外旅行の手配・受注型企画旅行・インバウンド向け旅行商品の取り扱いが可能になります。海外旅行手配では、航空券・海外ホテル・現地オプショナルツアーを組み合わせた付加価値の高い旅行商品を提供でき、収益単価も高くなります。国内旅行業務取扱管理者取得の翌年に総合を目指すスケジュールが副業旅行業者のキャリアアップとして王道です。科目免除制度(国内旅行業務取扱管理者合格者は「旅行業法令」「国内旅行実務」が免除)を活用すれば、「海外旅行実務」と「標準旅行業約款」の2科目だけに集中できます。

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よくある質問(FAQ)

旅行業登録なしで友人の旅行を手配してお金をもらうことはできますか

報酬を受け取って旅行の手配を行う場合、原則として旅行業登録が必要です。旅行業法は「報酬を得て旅行者のために運送・宿泊サービスの手配をする行為」を旅行業と定義しており、相手が知人・友人であっても適用されます。ただし、運送・宿泊の手配を伴わない「旅行情報の提供のみ」「旅程プランの提案のみ(実際の予約・手配は相手が行う)」は旅行業法の定義外となります。副業としてビジネス化する場合は必ず登録を経てください。

副業旅行業の開業にかかる初期費用の合計はどのくらいですか

地域限定旅行業でANTA加盟を前提とした場合の初期費用の目安は、弁済業務保証金分担金3万円+ANTA入会金・年会費(数万円)+登録申請手数料(都道府県ごとに異なりますが概ね1万円前後)+事務所整備費用(自宅事務所なら最小限)の合計で10万円程度からスタートできます。これに旅行業務取扱管理者試験の学習費用(通信講座3万円~6万円)を加えると、合計15万円~20万円が副業開業の初期投資の目安です。

自宅を営業所として旅行業登録できますか

自宅を営業所として旅行業登録することは法令上禁止されていません。ただし、都道府県によっては営業所として認められるための条件(独立した部屋・看板の設置・事業者としての外部からの識別が可能なこと等)が定められている場合があります。また、集合住宅(マンション等)では管理組合の規約・使用細則で事業所利用が制限されている場合があるため、事前に確認が必要です。自宅の一室を事務所として利用する場合は、申請時に都道府県の担当窓口に要件を確認することをおすすめします。

国内旅行業務取扱管理者資格は副業旅行業に十分ですか、それとも総合が必要ですか

地域限定旅行業・第3種旅行業(国内募集型企画旅行・国内外手配旅行・国内外受注型企画旅行)を副業として始めるなら、国内旅行業務取扱管理者資格で十分です。海外旅行の募集型企画旅行(国内発の海外パッケージツアーを自社企画・販売)を行いたい場合は第2種以上の登録と総合旅行業務取扱管理者資格が必要になります。まず国内旅行業務取扱管理者で開業し、需要と事業規模が拡大したら総合を追加取得して区分変更するステップアップが現実的です。

副業旅行業者でも旅行業務取扱管理者研修を受ける義務がありますか

はい、選任を受けた旅行業務取扱管理者は副業・本業に関わらず、5年ごとにJATAまたはANTAが実施する旅行業務取扱管理者研修を受講する義務があります。研修受講を怠ると、事業者(登録旅行業者)に対して業務改善命令等の行政処分が下される可能性があります。研修は法令改正・業界動向の最新情報を学ぶ機会でもあるため、副業旅行業者にとっても実務上役立つ内容です。研修日程・申込はJATA・ANTAの公式サイトで確認してください。

副業として旅行業を始めるのに向いているのはどんな人ですか

旅行・観光への深い関心と特定分野の専門性を持つ方(登山・サイクリング・食文化・地域文化・歴史等)、地元の観光資源や宿・体験施設との人脈を持つ方、外国語スキルを活かしてインバウンド旅行者向けに対応したい方、旅行会社・ホテル・航空会社など観光業界の実務経験を持つ方がとくに向いています。資格取得+少ない初期投資で始められ、趣味や専門性をそのまま事業にできる点が旅行業副業の大きな魅力です。

勤務先が副業を禁止している場合はどうすれば良いですか

就業規則が副業禁止の場合、旅行業の副業を無断で開始することは就業規則違反となりリスクが大きいです。まず就業規則の副業規定の内容を正確に確認し、「禁止」なのか「届出制(許可制)」なのかを判断してください。許可制・届出制であれば所定の手続きで申請できる場合があります。副業禁止の場合でも、労働者に対する副業解禁の社会的な流れ(厚生労働省のガイドライン等)を踏まえて人事部門に相談する余地はあります。いずれにせよ勤務先との関係を壊すリスクを避けるため、必ず事前確認・手続きを経てから開業してください。

旅行業務取扱管理者試験の学習法・通信講座の選び方については、旅行業務取扱管理者通信講座のすすめもあわせてご参照ください。

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