旅行会社への就職を目指す学生や社会人にとって、インターンシップは現場を体験できる貴重な機会です。旅行業界のインターン選考では、旅行業務取扱管理者試験の知識が役立つ場面も少なくありません。本記事では、旅行業界のインターンシップの種類・参加時期・選考対策・業務体験の内容から、試験取得と就職活動の上手な組み合わせ方まで体系的に解説します。

旅行業界インターンシップの種類と特徴
1Dayから長期まで3つの主な形態
旅行業界のインターンシップは、大きく「1Day(職場見学・仕事体験型)」「短期(数日~1週間程度)」「長期(1か月以上)」の3形態に分類できます。1Dayインターンは就職活動を始めたばかりの段階でも参加しやすく、業界全体のイメージをつかむのに適しています。会社説明と職場見学が中心で、社員との交流セッションが設けられることが一般的です。
短期インターンは旅行商品の立案体験・顧客対応のロールプレイングなど、より実践的な内容が組まれることが多く、グループワークを通じてビジネスの基礎を学ぶ機会となります。長期インターンは一部の旅行会社が通年募集しており、実際の業務補助に携わりながら旅行業の実務を体系的に習得できます。
大学3年生の夏休みから冬にかけての期間が、短期・長期ともに多くの企業で受け入れピークとなる傾向があります。1Dayは比較的年間を通じて実施されており、業界研究の初期段階から活用できます。複数の形態のインターンシップに参加することで、旅行業の実務への理解が着実に深まります。
旅行業特有の業務体験メニュー
旅行業界のインターンシップでは、旅行会社ならではのプログラムが用意されることがあります。たとえば、募集型企画旅行の模擬立案(行程設計・旅行代金算出の体験)、カウンターセールスのロールプレイ、法人営業における出張手配や研修旅行の提案演習などが挙げられます。これらは旅行業法・標準旅行業約款の知識と直結しており、旅行業務取扱管理者試験で学ぶ内容と重なる部分が多くあります。
GDS(グローバル流通システム)や予約システムの操作体験を組み込んでいる企業もあります。専用の研修環境でアマデウスやセーバーの基本操作を体験することで、就職後の業務イメージを具体的に持つことができます。旅行業の業務範囲の広さを肌で感じられる点が、他業界のインターンとの大きな違いといえます。
インバウンド(訪日外国人向け)旅行を扱う旅行会社では、外国語での対応体験や訪日旅行の企画体験を組み込んでいる場合もあります。こうした体験は旅行業務取扱管理者試験「海外旅行実務」の学習範囲と関連する部分が多く、試験勉強の動機づけにもなります。
インターンシップに参加しやすい時期とスケジュール
大学3・4年生・社会人の参加タイミング
新卒採用を前提とした学生向けインターンは、大学3年生(修士1年生)の6月ごろから募集が始まり、夏期(8~9月)・秋冬期(10~12月)に集中して実施される傾向があります。大学2年生のうちから1Day型のオープンインターンに参加しておくと、業界全体への理解が深まり、3年生以降の就職活動をよりスムーズに進めることができます。
第二新卒・社会人向けの職場見学や体験プログラムを設けている旅行会社もあり、転職を検討している段階での情報収集に活用できます。旅行業界への転職を考えている場合は、新卒向けとは異なるキャリア採用のページや専門の転職エージェントを通じて情報を収集することが重要です。
参加タイミングとして一般的に言われるのは、本選考(翌年3月以降)の6~12か月前です。インターン参加者限定の早期選考案内が届く旅行会社も多いため、早い段階で旅行業界のインターンに参加することが本選考の準備にもつながります。
申込開始から選考・参加までの一般的な目安
インターンシップへの参加は、企業の採用ページや就職情報サイトへのエントリーからスタートします。企業によってはエントリーシートと面接による選考がある場合と、先着・抽選のみの場合があります。以下はごく一般的な流れの目安であり、企業・年度により異なります。
| フェーズ | 時期の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| エントリー受付開始 | 実施の1~2か月前 | 採用ページ・就職情報サイトへのES提出 |
| 選考(選考ありの場合) | 実施の2~4週間前 | ES審査・Webテスト・面接(1回の場合が多い) |
| 参加確定・事前課題 | 実施の1~2週間前 | 参加可否通知・事前学習課題の配布 |
| インターンシップ実施 | 夏期8~9月・秋冬期10~1月ごろ | 業務体験・グループワーク・社員座談会など |
| フォローアップ | 実施後2週間以内 | アンケート・お礼状送付・本選考案内(場合による) |
エントリー締め切りは早い場合、実施の2か月以上前に設定されることもあります。旅行業界は人気が高く、早期にエントリーが埋まることもあるため、志望企業の採用カレンダーをこまめに確認する習慣をつけることが重要です。
旅行業務取扱管理者試験の知識がインターンで活きる場面
旅行業法・約款の基礎知識が現場理解につながる理由
旅行業務取扱管理者試験の学習範囲は、旅行業法・標準旅行業約款・国内外の旅行実務と多岐にわたります。インターン参加前にこれらの基礎を理解しておくと、現場で飛び交う専門用語をスムーズに理解でき、業務体験の吸収速度が大きく上がります。たとえば「募集型企画旅行」「受注型企画旅行」「手配旅行」の3つの契約類型を知っていると、旅行商品の立案体験でグループの議論に即座に貢献できます。
旅行業法第11条の2では、旅行業者は営業所ごとに旅行業務取扱管理者を1名以上選任することが義務付けられています(2026年8月時点)。インターン中の社員紹介でこの制度が出てきた際、選任義務の仕組みを知っていることで社員との会話が深まり、旅行業への理解の深さを具体的にアピールできます。試験の知識はインターン選考のエントリーシートや面接でも、業界研究の成果として評価されます。
約款科目で学ぶ「取消料の規定」「変更補償金の対象」「特別補償の仕組み」なども、カウンターセールスや企画立案の体験で直接使う知識です。試験勉強の段階では暗記の多い科目ですが、実際のビジネスの現場でどう機能するかを体験することで記憶に定着しやすくなります。
試験勉強とインターン体験の相乗効果
旅行業務取扱管理者試験の国内区分はCBT方式で、令和8年度は9月3日~25日の期間に全国47都道府県のテストセンターで受験者が日時を選択して受験できます。大学3年生の夏のインターンシップ時期と重なるため、計画的に両立させることで相乗効果が得られます。試験勉強を先行させてインターンに臨むと、現場体験が試験の知識を定着させる復習の場にもなります。
反対に、インターンを経験した後で通信講座や試験対策を始めると、「現場でどう使う知識か」がイメージしやすくなり、モチベーションが上がりやすいという利点もあります。どちらの順でも試験勉強とインターン体験を組み合わせることで、旅行業への理解が立体的に深まります。
総合旅行業務取扱管理者試験は令和8年度に10月25日(日)に実施されます。秋冬インターンと時期が重なるため、総合試験を目指す場合は夏から計画を立てて学習を進めることが重要です。通信講座の担当者に学習スケジュールの相談をするのも一つの方法です。
選考突破のための準備(エントリーシート・面接)
エントリーシートで押さえるポイント
旅行業界のインターン選考のエントリーシートでよく問われるのは「旅行業界を選んだ理由」「インターンで学びたいこと」「自分の強みをどう活かすか」の3点です。旅行体験の多さやツーリストとしての視点に触れながら、「なぜこの会社のインターンに参加するのか」という志望動機の具体性が評価されます。
旅行業務取扱管理者試験の学習中であれば、「旅行業法・約款の知識を実務でどう使うのか確かめたい」という具体的な学習目標をエントリーシートに書けます。資格の勉強をしているという事実は、旅行業界への本気度を示す材料として有効です。ただし「合格しているかどうか」よりも「何を学びたいのか・何を持ち帰りたいのか」を明確に書くことが重要です。
エントリーシートは提出前に読み返し、「この会社のインターンでなければならない理由」が明確かどうかを確認しましょう。企業の強みや取り扱い旅行の特徴(国内旅行特化・海外個人旅行・MICE専門など)を調べたうえで、自分の関心と結びつけて書くことで説得力が増します。
面接でよく問われるテーマと答え方の基本
インターン選考の面接(特に集団面接・グループディスカッション)では、旅行業界全体のトレンドや旅行会社のビジネスモデルについての質問が出ることがあります。一般的によく取り上げられるのは「旅行会社の収益構造」「OTA(オンライン旅行代理店)の台頭が旅行業界に与えた影響」「訪日外国人(インバウンド)観光の現状」などです。
面接で大切なのは、自分の考えを論理的に・簡潔に話すことです。旅行業務取扱管理者試験の知識を前面に出しすぎて話が長くなると逆効果になる場合もあります。「旅行業法を学んでいて、旅行業者は営業所ごとに旅行業務取扱管理者の選任が義務付けられていることを知りました。その実際の運用を現場で確認したい」という形で、知識を活かしてコンパクトにまとめる練習をすると効果的です。
グループディスカッションでは、結論よりもプロセスが重視されることが多くあります。チーム全体の意見を整理しながら議論を前に進める役割や、異なる意見を取り入れて論点を深める姿勢が評価されます。旅行業務取扱管理者試験の知識は、議論の中で具体的な根拠として活用する場面で効果を発揮します。
インターンシップで体験できる主な業務
カウンターセールス・旅行商品提案の体験
店舗型の旅行会社やカウンター対応を持つOTAのインターンでは、カウンターセールスの体験が組まれることがあります。お客様が旅行先・日程・予算を持ち込んだ想定でロールプレイを行い、適切なプランを提案する流れを体験します。実際の社員からフィードバックをもらう形式が多く、「旅行の目的をヒアリングして商品をカスタマイズする感覚」をつかめる機会です。
旅行業務取扱管理者の知識があると、取引条件説明書の記載事項(旅行代金の内訳・取消料・変更補償金など)の説明練習でつまずきにくくなります。標準旅行業約款で学ぶ数字を正確に覚えることの重要性も、実際の説明場面を経験することでより実感できます。
また、書面交付義務(旅行業法第12条の4・第12条の5)の観点から、契約前にどのような情報をお客様に提供しなければならないかを実務で確認できます。試験で「取引条件説明書の記載事項」として学ぶ内容が、実際の書面として目の前に現れることで理解が深まります。
企画・仕入れ・法人営業関連の業務体験
企画職・仕入れ担当のインターンでは、国内または海外のツアー行程案を作成するグループワークが行われることがあります。宿泊施設の料金や交通機関の費用を考慮しながら適正な旅行代金を算出する体験は、旅行業の数字の面白さを直接感じられる機会です。標準旅行業約款で学ぶ「旅行代金の変更ルール」も、企画立案の文脈で理解が深まります。
MICE(会議・報奨旅行・コンベンション・展示会)や出張手配を主力とする法人営業チームのインターンでは、企業の出張コスト管理・出張ポリシーとの整合性を確認しながら手配を行う業務の流れを学べます。法人取引では旅行業法上の書面交付義務も実務で発生するため、試験で学んだ知識が直接役立ちます。
旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の業務を体験できるインターンも一部に存在します。旅行サービス手配業は2018年の旅行業法改正(平成29年法律第50号・2018年1月4日施行)で登録制度が新設された業態であり、旅行会社の現地手配を担う役割を持ちます。制度の背景を知ったうえで業務体験に臨むと、現場の理解が一段と深まります。
インターンシップから本選考・内定へのステップ
インターン後の企業とのつながり方
インターン終了後は、参加した企業の採用担当者や人事部門との接点を大切にすることが就職活動の基本です。インターン参加者限定の座談会・先輩社員訪問・早期選考案内が届く場合もあります。これらの機会を活用して、本選考に向けた理解を深めていくことが一般的な流れです。
インターンで感じた疑問や気づきをメモしておき、本選考のエントリーシートや面接で「インターン参加を通じて◯◯を学んだ」という形で具体的なエピソードとして話せると、選考での説得力が増します。志望度の高い企業については、インターン終了後に担当者へお礼の連絡をする学生も多く、礼儀としても重要です。
複数の旅行会社のインターンシップに参加すると、会社ごとの強み・文化・取り扱い旅行の特色の違いが見えてきます。こうした比較の視点は、最終的な志望企業の絞り込みと、エントリーシート・面接での差別化に役立ちます。
資格取得タイミングと就活スケジュールの組み合わせ
旅行業務取扱管理者試験の国内区分はCBT方式で令和8年度は9月3日~25日の期間に受験でき、総合区分は10月25日(令和8年度)に実施されます。大学3年生の場合、夏のインターンシップと国内試験の時期が重なるため、計画的なスケジュール管理が求められます。
一つの考え方として、夏インターン(8月)の前にCBT対策を一定程度進め、インターン後の9月に国内試験を受験し、秋冬の本選考に向けて資格を持参するルートがあります。これはあくまでも想定例であり、各自の学業や他の活動との兼ね合いで調整することが大切です。
国内試験に合格すると、総合試験では法令科目と国内旅行実務の2科目が免除されます(施行規則第20条第1号)。ただし免除を受けるには申請と証明書類の提出が必要なため、科目合格証を手元に確認したうえで申請手続きを行いましょう(施行規則第13条第2項)。申請しない場合は全科目受験になります。
インターンシップを活かす就活チェックリスト
- 志望する旅行会社のインターンシップ募集時期を採用ページで確認した
- エントリーシートに「インターンで学びたい具体的なこと」を明確に書けている
- 旅行業法・標準旅行業約款の基礎(企画旅行の定義・取消料・書面交付義務など)を理解している
- 旅行業界のビジネスモデル(旅行業の種別・OTA・MICE)を自分の言葉で説明できる
- 旅行業務取扱管理者試験の受験スケジュールを就活スケジュールと照らし合わせた
- インターン終了後に参加の振り返りメモを作り、面接で使えるエピソードをまとめた
- 複数の旅行会社のインターンに参加して、会社ごとの特色の違いを把握した
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よくある質問(FAQ)
Q1. 旅行業界のインターンシップは資格がなくても参加できますか?
はい、旅行業界のインターンシップに参加するために旅行業務取扱管理者資格は必須ではありません。インターンシップは就業体験が目的であり、資格は参加の要件とされないのが一般的です。ただし、資格の学習中であることや旅行業法の基礎を理解していることは、旅行業への関心・熱意を示す材料として選考で評価されることがあります。
Q2. 旅行業務取扱管理者試験に合格していると就職選考で評価されますか?
旅行業界の採用選考において、旅行業務取扱管理者資格は旅行業の専門知識の裏付けとして評価される国家資格です。旅行業法第11条の2では旅行業者は営業所ごとに旅行業務取扱管理者を1名以上選任する義務があるため、資格保有者を即戦力として評価する旅行会社は多くあります。インターン参加前の時点での合否よりも「業界への本気度と理解の深さ」として捉えられることが多いです。
Q3. 国内試験と総合試験のどちらを先に受けるべきですか?
就職を目指す場合、まず国内旅行業務取扱管理者試験から始める方が学習負荷の面で取り組みやすいとされています。国内試験(令和8年度:CBT方式・9月3日~25日)に合格すると、総合試験では法令科目と国内旅行実務の2科目が免除されます(施行規則第20条第1号)。免除には申請と証明書類の提出が必要で(施行規則第13条第2項)、申請しなければ全科目受験となります。また科目合格は国内試験と総合試験の間で相互に持ち越せない点にも注意が必要です。
Q4. 旅行会社のインターンシップ選考はどれくらい難しいですか?
大手旅行会社の人気プログラムでは選考が設けられており、一定の競争が生じることがあります。倍率は企業・実施回・年度によって異なり、公式に公表されている数値はないため一般化できません。1Dayのオープン型インターンは選考なしの場合が多く、まずは参加ハードルの低いプログラムから旅行業界への理解を深めるのも有効な方法です。
Q5. 社会人が旅行業界へ転職する際にインターンシップは利用できますか?
一部の旅行会社では社会人・転職者向けの職場体験や見学プログラムを実施しています。新卒学生向けのインターンとは別に設定されていることが多いため、企業のキャリア採用ページで確認するのが確実です。旅行業界への転職を検討している場合は、業界専門の転職エージェントへの相談もあわせて活用すると選択肢が広がります。
Q6. インターンシップで旅行業務取扱管理者試験の知識は直接使いますか?
インターンシップで試験問題を解くような場面はほぼありませんが、旅行業法・約款の基礎知識は現場理解を深める土台として間接的に役立ちます。取消料の計算根拠や書面交付義務の意味を理解していると、業務説明を聞く際の吸収速度が高まります。試験知識は暗記事項としてではなく「旅行業の仕組みを理解するための地図」として活用することを意識しましょう。
Q7. 旅行業務取扱管理者試験の受験手数料を教えてください。
2026年8月時点の確定情報では、総合旅行業務取扱管理者試験が13,000円(非課税)、国内旅行業務取扱管理者試験が8,000円(非課税)、地域限定旅行業務取扱管理者試験が5,500円(収入印紙で納付)です。総合・国内にはシステム利用料660円(税込)が別途必要です(地域限定はなし)。最新の受験手数料は必ず公式の受験案内(総合=日本旅行業協会、国内=全国旅行業協会、地域限定=観光庁)でご確認ください。
旅行業界でのキャリアを目指すにあたり、インターンシップは現場と自分の相性を確かめる絶好の機会です。旅行業務取扱管理者試験の学習とインターン参加を上手に組み合わせることで、就職活動をより実りあるものにすることができます。通信講座を活用して体系的に試験対策を進めながら、旅行業界への理解を深めてみてください。

