旅行業務取扱管理者試験は、仕事を続けながら合格を目指す社会人が多い資格試験です。国内旅行業務取扱管理者試験は令和8年度から全国47都道府県のテストセンターでCBT方式による受験が可能となり、受験日を自分で選べる仕組みが整っています(令和8年度の受験期間は9月3日(木)~25日(金))。「働きながらでも本当に合格できるか」と不安を感じる方も、仕事と学習を両立するための計画と学習法を整えることで着実に力を積み上げることができます。本記事では、社会人が限られた時間を最大限に活かして令和9年度合格を目指すための勉強法と時間管理術を徹底的に解説します。

働きながら旅行業務取扱管理者試験を目指す前に確認したいこと
試験制度が社会人受験者を後押しする仕組み
旅行業務取扱管理者試験には、働きながら受験する人にとって有利な制度がいくつか備わっています。国内旅行業務取扱管理者試験はCBT方式(テストセンターでのPC受験)で実施されており、令和8年度は9月3日(木)から25日(金)の間で受験日・時間・会場を自分で予約できます(全国旅行業協会受験案内より)。土日の受験も可能で、仕事のスケジュールに合わせた受験日の選択が現実的です。総合旅行業務取扱管理者試験は令和8年度は10月25日(日)に指定会場でのマークシート方式です(日本旅行業協会令和8年度受験要項より)。
科目合格制度も活用できます。国内試験・総合試験ともに試験科目の一部に合格した場合、次回以降の試験で当該科目が免除されます(旅行業法施行規則第20条)。ただし免除を受けるには申請と証する書類の提出が必要であり(施行規則第13条第2項)、申請しなければ全科目受験となる点に注意が必要です。仕事が忙しく十分な準備ができなかった年度に科目合格だけを目標とし、翌年度に残りの科目で合格を狙う「2年計画」も現実的な選択肢です。
受験手数料と試験方式の基礎情報(令和8年度)
試験の基本情報を整理しておきます。国内旅行業務取扱管理者試験の受験手数料は8,000円(非課税)、システム利用料660円(税込)がかかります(全国旅行業協会令和8年度受験案内より)。総合旅行業務取扱管理者試験の受験手数料は13,000円(非課税)、システム利用料660円(税込)です(日本旅行業協会令和8年度受験要項より)。地域限定旅行業務取扱管理者試験は受験手数料5,500円を収入印紙で納付し、システム利用料はありません(観光庁令和8年度受験案内より)。
| 区分 | 受験手数料(非課税) | システム利用料 | 試験方式 | 令和8年度試験日 |
|---|---|---|---|---|
| 国内旅行業務取扱管理者 | 8,000円 | 660円(税込) | CBT方式(テストセンター) | 9月3日(木)~25日(金)から受験者が選択 |
| 総合旅行業務取扱管理者 | 13,000円 | 660円(税込) | マークシート・指定会場 | 10月25日(日)10:30 |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 | 5,500円(収入印紙) | なし | 会場筆記 | 9月27日(日)13:30~15:30 |
(2026年8月時点・各主催団体の受験案内より。最新情報は公式受験案内でご確認ください)
仕事と学習を両立する時間管理の基本
平日・休日の可処分時間を棚卸しする
学習計画の出発点は、現在の生活サイクルを正直に書き出すことです。平日は通勤・退勤で何分かかるか、夕食・入浴・家事を終えて自由になれる時間帯はどこか、休日はまとまった時間を何時間確保できるかを具体的に数えます。「勉強できそうだ」という感覚と「実際に使える時間」の間には差が生じやすく、先に実態を把握しておくことで計画の精度が上がります。
よくあるつまずきとして、「休日にまとめてやろう」と考えて平日の学習をゼロにすると、休日の疲れや急な予定でリカバリーが難しくなるケースがあります。平日に短時間でも学習を積み重ねる習慣を作ることが、継続的な学力維持につながります。
週単位の学習枠を先に確保するスケジューリング
時間管理の実践では、週単位で「この曜日のこの時間帯は学習に使う」と先に決めてしまう方法が有効です。予定として日程に組み込んでおくと、他の用事が入りにくくなります。以下は働く受験者のスケジューリングの想定例です(個人のスケジュールに合わせて変形してください)。
- 平日の通勤時間(往復):音声コンテンツや一問一答アプリでのインプット
- 昼休みの15分:苦手問題の確認・暗記事項の見直し
- 帰宅後20分~30分:問題演習または当日のインプット内容の確認
- 休日の午前中2時間:テキスト精読または過去問演習とまとめ復習
学習の記録をつけることも継続を助けます。1日の学習時間や達成した問題数を簡単にメモするだけで、積み上げの実感が生まれ、モチベーションの維持につながります。週に1回記録を見返して翌週の学習量を微調整する習慣を持つと、計画との乖離に早めに気づくことができます。
隙間時間を学習に変えるインプット戦略
通勤・移動時間の活用法
往復の通勤時間は、音声コンテンツや一問一答アプリを使ったインプットに適しています。旅行業法の条文番号・数字・定義は繰り返し耳にすることで定着しやすくなります。通信講座の中には音声データや動画講義をダウンロードして移動中に視聴できる形式のものもあり、スマートフォン一台で学習環境が整います。
電車や路線バスなど座れる環境であれば、問題集の一問一答を読み進めることも有効です。一度解いた問題に正誤のマークを付けておくと、次回の移動時に間違えた問題だけを集中して見直すことができ、限られた時間を効率的に使えます。
昼休み・休憩時間の活用
昼食後の15分、休憩スペースでの5分といった細切れの時間も積み重なると相当な学習量になります。この時間帯には新しい概念を深く考えるより、暗記事項の確認(受験手数料の金額・試験科目数・定義など)や短い一問一答に向いています。スマートフォンアプリに苦手問題をリスト化し、休憩のたびに数問ずつ回すスタイルが有効です。
帰宅後・疲れた状態でも続けられる学習習慣
短時間集中型の「15分ブロック学習」
長時間勉強しようと意気込んでも、仕事で疲れた夜にそれを実現するのは難しい場合があります。「今日は15分だけ」と意図的にハードルを下げる方法が、途切れさせないための有効な手法です。15分集中して問題を10問解く・テキストの1セクションを読む、という形で毎日の積み重ねを止めないことが長期の学習効果につながります。
疲れているときは新しいことを覚えるより、既習内容を問題演習で確認する「アウトプット中心」の時間にすることが効果的です。無理な深夜学習より早めに休んで翌朝や通勤時間に充てるほうが、定着率の面で有利とされています。
学習を継続させるモチベーション管理
合格後の具体的なイメージ(管理者として選任される・転職の履歴書に書く・開業を目指すなど)を持つことが長期継続を支えます。学習が停滞する時期は多くの受験者が経験します。そのような時期は学習量を一時的に減らし、無理なく続けられる量に調整したうえで継続することを最優先にします。完全にやめてしまうことが最も避けるべき事態です。
科目別・働きながら覚えるポイント
旅行業法・約款科目の効率的な学習法
旅行業法は条番号と数字の組み合わせが試験でよく問われます。試験科目は「法及びこれに基づく命令」と「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」の2つに大別されます(旅行業法施行規則第12条第1項)。法令科目は条文の骨格(誰が・誰に・何をしなければならないか)を短文で整理してから数字を肉付けする方法が理解の定着を助けます。
約款科目はどの試験区分でも免除されない科目です(JATA令和8年度受験要項・ANTA受験案内の全区分で受験科目)。企画旅行契約と手配旅行契約の責任の違い、取消料の発生タイミングなどが頻出テーマです。過去問で出題パターンを把握し、問われる視点を覚えることが得点への近道です。
国内・海外旅行実務の効率的な暗記法
国内旅行実務では鉄道・バスの料金計算、観光地・温泉・世界遺産の地理知識が問われます。地理分野は都道府県単位で観光スポットを整理した一覧表を作り、通勤時間に繰り返し見る習慣が有効です。鉄道料金の仕組みは一度基礎を理解すると応用が利くため、テキストの該当章をしっかり読み込んで計算のルールを身につけることが先決です。
総合試験の海外旅行実務は出入国法規・国際航空運賃・時差計算・外国語など幅広い範囲があります。国内試験に合格してから総合試験に挑む場合、国内合格者は施行規則第20条第1号に基づき「法令」と「国内旅行実務」の2科目が免除されます(申請と証する書類の提出が必要)。この場合は残る「約款」と「海外旅行実務」の2科目に学習を集中させることができ、働きながらの受験計画を立てやすくなります。
通信講座が働く受験者に選ばれる理由
自分のペースで進められるカリキュラムと学習管理機能
通信講座はあらかじめ体系化されたカリキュラムが提供されており、「次に何を勉強すべきか」を自分で判断する必要がないため、仕事で疲れているときでも学習を始めやすい環境が整います。スマートフォンやタブレットで動画講義・PDF教材・演習問題を完結できる講座を選ぶと、職場の昼休みや通勤中も同じ教材を使い続けることができます。
学習の進捗管理や模擬試験・添削サービスが付属している講座では、自分の現在地と弱点を可視化したうえで次の学習に活かせます。独学では教材選定・スケジュール管理を全て自分で行う必要があるのに対し、通信講座はその部分を委ねられる点が、時間的制約の大きい社会人受験者に支持される理由です。
通信講座を選ぶ際のチェックポイント
- スマートフォン・タブレットで動画視聴・問題演習が完結するか
- 講義動画はダウンロードしてオフラインで視聴できるか(通信環境のない場所での学習のため)
- 過去問演習・模擬試験が充実しているか
- 受講期間内に受験したい年度の試験が実施されるか(開講時期の確認)
- 質問・サポートの対応形式(メール・チャットなど)
- 受講料と含まれるサービスのバランス
- テキスト送付がある場合、紙媒体での学習も選べるか
働きながら受験するよくある挫折パターンと対処法
繁忙期・残業増加期の乗り切り方
仕事の繁忙期が受験直前と重なるケースは珍しくありません。一般的には、繁忙期は「学習量を最小限にしてでも完全に止めない」という方針が有効とされています。繁忙期前に前倒し学習を行い、あらかじめ余裕を作っておくことも有効な備えです。
残業が続く時期は帰宅後の長時間学習を手放し、翌朝の通勤時間・昼休みのみの短時間学習モードに切り替えます。学習を完全に止めることへの罪悪感から「どうせ無理だ」という気持ちに発展しやすいため、規模を縮小しても継続することを最優先の判断基準にします。
学習の遅れが生じたときのリカバリー戦略
予定より学習が遅れた場合、当初の計画通りに取り戻そうとして一度に長時間学習しようとすると、さらに疲弊して継続が難しくなる悪循環に陥ることがあります。遅れが生じたら計画を現状に合わせて組み直し、「今から試験日までで何をどこまでやるか」を再設定することが建設的です。
学習範囲の優先順位をつける観点では、過去問での出題頻度が高い分野(旅行業法の選任義務・受験手数料・約款の取消料など)を最優先にし、出題頻度が低い細かい数字は後回しにする方法があります。試験まで時間が限られている状況では、全範囲を均等に学ぶよりも頻出テーマを確実に得点できる状態にすることのほうが合格への近道になります。
令和9年度合格に向けた12か月学習ロードマップ(想定例)
1月~5月:インプット期の目標と取り組み
以下は国内旅行業務取扱管理者試験(令和9年度)に向けて1月からスタートする想定例です。個々の状況・受験区分・通信講座の有無に合わせて変形してください。
1月は教材選定と生活の中への学習時間の組み込みに集中します。2月から3月はテキストの通読と旅行業法・約款の基礎理解に充て、4月から5月にかけて国内旅行実務(鉄道料金計算・地理)のインプットに移行するイメージです。この期間は「理解する」ことを優先し、問題演習は簡単な一問一答を中心にします。
| 時期 | 学習フェーズ | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 1月 | 準備・習慣化 | 教材選定、生活サイクルへの学習時間の組み込み |
| 2月~3月 | インプット前半 | 旅行業法・約款のテキスト精読、一問一答で確認 |
| 4月~5月 | インプット後半 | 国内旅行実務(鉄道料金・地理)のインプット |
| 6月~7月 | アウトプット前半 | 過去問演習開始、弱点科目の洗い出しと補強 |
| 8月 | アウトプット強化 | 模擬試験による実力確認、苦手論点の集中復習 |
| 9月 | 直前仕上げ | 暗記事項の最終確認、CBT受験(国内) |
5月~9月:アウトプット集中期と直前仕上げ
5月から過去問演習の比重を上げ、問題を解きながら知識の抜け穴を確認します。6月・7月は弱点科目の補強と過去問の反復、8月は模擬試験による実力確認を行います。国内試験の受験申込は開始後早めに手続きをし、仕事スケジュールと照らして受験日を予約します。9月の直前2週間は暗記事項の最終確認と苦手分野の集中復習に充てます。

よくある質問(FAQ)
Q1. 働きながら何か月で旅行業務取扱管理者試験に合格できますか?
学習に充てられる時間・受験区分(国内か総合か)・事前の知識量によって大きく異なります。旅行業務経験がある場合は有利に働くこともあります。学習時間の目安を断定することは難しいため、受験年度の試験日から逆算して計画を立て、毎日継続できる量から始める進め方が現実的です。
Q2. 働きながら総合試験と国内試験どちらを先に受けると効率的ですか?
学習範囲の広さは総合のほうが大きく、海外旅行実務が加わります。時間的制約が大きい場合は国内試験から合格し、翌年度以降に国内合格による科目免除(法令・国内旅行実務の2科目)を活用して総合試験に挑む段階的アプローチも有効です。免除を受けるには申請と証する書類の提出が必要で、申請しなければ全科目受験になります(施行規則第13条第2項)。
Q3. 休日だけの学習で旅行業務取扱管理者試験に合格できますか?
休日のみに学習を集中させる方法は、平日の記憶が抜けやすく、試験直前に間隔が空いた期間のリカバリーが必要になるリスクがあります。平日はごく短時間でもよいので学習を継続させ、休日にまとめて演習・復習する組み合わせのほうが記憶の定着には効果的とされています。
Q4. 科目合格制度はどのように活用すると有利ですか?
国内旅行実務や海外旅行実務の科目に合格した場合、次回以降の同じ試験でその科目が免除されます(旅行業法施行規則第20条第3号~第6号)。ただし免除は申請が必要(施行規則第13条第2項)で、申請を忘れると全科目受験になります。また科目合格は総合と国内で相互には持ち越せません。
Q5. 通信講座と市販テキスト独学、働きながらの受験にはどちらが向いていますか?
通信講座は体系的なカリキュラムと学習管理機能が備わっており、「次に何をすべきか」を考える手間を省ける点が働く受験者に支持されています。市販テキストの独学は費用を抑えられる反面、教材選定・スケジュール管理・弱点の把握を全て自分で行う必要があります。どちらを選ぶかは予算と自己管理力を照らして判断するのが現実的です。
Q6. 繁忙期に学習が完全に止まった場合、どう立て直せばよいですか?
繁忙期明けは体力・気力の回復を最優先にしたうえで、残り期間で何科目を仕上げるかを改めて整理します。全範囲を取り戻そうとするよりも、過去問出題頻度の高い論点に絞って短期集中する方針に切り替えることが現実的です。
Q7. 地域限定旅行業務取扱管理者試験を先に受けることは働く受験者に有効ですか?
地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者は、総合試験・国内試験で「法令」科目が免除されます(旅行業法施行規則第20条第2号。申請と証する書類が必要)。受験手数料は5,500円(収入印紙納付・令和8年度観光庁受験案内より)で、試験範囲は国内試験より狭く、入門として受験するルートもあります。申込は郵送・会場筆記(令和8年度は9月27日(日))で、CBT方式の国内試験とは方式が異なります。
PR
ユーキャンの国内・総合旅行業務取扱管理者 速習レッスン 2026年版
要点を絞ったコンパクトな構成で忙しい社会人の隙間学習に最適。試験に出やすいポイントを効率よく押さえられる速習テキストです。通信講座との併用にも適しています。
PR
2026年度試験 観光・旅行教科書 旅行業務取扱管理者【総合・国内】テキスト&問題集 第6版
テキストと問題集が1冊にまとまった総合・国内対応の定番教材。解説が丁寧で、働きながらの自学自習で体系的に知識を身につけたい方に向いています。

