旅行会社の開業完全ガイド【2026年最新】登録申請手続き・営業保証金・旅行業務取扱管理者の選任から開業後の実務まで徹底解説

旅行会社の開業を考えているなら、旅行業法に基づく登録が最初のステップです。登録種別によって取り扱える旅行の範囲が変わり、基準資産額や営業保証金の要件もそれぞれ異なります。また、旅行業務取扱管理者を営業所ごとに選任しなければ登録できません。本記事では、第1種・第2種・第3種・地域限定の違い、申請先の行政庁、財産的基礎の要件、管理者の選任基準から開業後の実務まで、旅行会社の開業に必要な情報を体系的に解説します。

旅行会社の開業完全ガイド【2026年最新】登録申請手続き・営業保証金・旅行業務取扱管理者の選任から開業後の実務まで徹底解説 - 解説

目次

旅行業を営むには旅行業法に基づく登録が必要です

旅行業法第3条が定める登録義務

旅行業を営もうとする場合は、旅行業法第3条の規定により観光庁長官の登録を受けなければなりません。登録を受けずに旅行業を行った場合、旅行業法違反として行政処分や罰則の対象となります。開業前に必ず登録を完了させる必要があります。

旅行業とは、旅行業法第2条第1項に定義される行為を事業として行うことを指します。旅行者の依頼を受けて運送や宿泊等のサービスを手配する、または自ら企画旅行を作成して旅行者に販売する事業が典型例です。これらの行為を継続・反復して行う場合は登録が必要です。登録申請から審査・登録完了までには一定の期間がかかるため、開業スケジュールに余裕を持って手続きを進めることが重要です。

旅行業者代理業という選択肢

財産的要件を直ちに満たすことが難しい場合は、登録済みの旅行業者を所属旅行業者として代理で業務を行う旅行業者代理業(旅行業法第2条第3項)という選択肢があります。旅行業者代理業の申請先は主たる営業所の所在地の都道府県知事です。

旅行業者代理業者は所属旅行業者の代理として業務を行います。独自ブランドで旅行を販売したい場合は旅行業の登録が必要です。代理できる所属旅行業者は1者のみです(旅行業法第6条第1項第11号)。

旅行サービス手配業(ランドオペレーター)との違い

2018年1月施行の旅行業法改正(平成29年法律第50号「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」)により、旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録制度が新設されました(旅行業法第2条第6項)。旅行サービス手配業は、旅行業者等から依頼を受けて旅行に関するサービスを手配する事業であり、旅行者に対して直接旅行商品を販売するものではありません。

旅行者に旅行サービスを直接販売したい場合は旅行業の登録が必要です。旅行業者の依頼を受けて手配業務のみを行う場合は旅行サービス手配業の登録で対応できます。事業の内容に応じてどの登録種別に該当するかを開業前に確認することが重要です。

旅行業の登録種別——第1種・第2種・第3種・地域限定の違い

4つの登録種別の概要

旅行業の登録には、取り扱える旅行の範囲に応じて第1種、第2種、第3種、地域限定の4種別があります。登録種別が異なると取り扱える事業の範囲・申請先の行政庁・基準資産額・営業保証金の額も異なります。

海外のパッケージツアー(募集型企画旅行)を販売・実施したい場合は第1種が必要です。国内旅行のみに特化するなら第2種・第3種・地域限定という選択もあります。

登録種別の比較表(2026年時点)

登録種別 主に取り扱える旅行の範囲 申請先 基準資産額
(施行規則第3条)
営業保証金最低額
(別表第一・取引額400万円未満)
弁済業務保証金分担金
(営業保証金÷5)
第1種 海外・国内を含むすべての旅行(募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行) 観光庁長官 3,000万円 7,000万円 1,400万円
第2種 海外の募集型企画旅行を除く旅行(国内募集型・受注型・手配旅行等) 都道府県知事 700万円 1,100万円 220万円
第3種 受注型企画旅行と手配旅行(募集型企画旅行は除く) 都道府県知事 300万円 300万円 60万円
地域限定 拠点区域内に限定した企画旅行・手配旅行 都道府県知事 100万円 15万円 3万円

※基準資産額(施行規則第3条)と営業保証金(施行規則別表第一)は別の要件です(2026年8月時点)。

※営業保証金の最低額は取引額400万円未満の場合の額です。取引額が増加すると逓増します(施行規則別表第一)。第1種は別表第二(本邦外募集型企画旅行)の加算がありますが取引額8億円未満は加算0円のため最低額は7,000万円です(2026年8月時点)。

地域限定旅行業の特徴と活用場面

地域限定旅行業は特定の「拠点区域」内に限定した旅行を取り扱う登録種別です。施行規則第1条の3第1項第3号によれば、拠点区域とは「自らの営業所の存する市町村の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域」です。地域に根差したツアー事業を小規模から始めたい場合に適しています。

地域限定旅行業の特徴は財産的要件が低いことです。基準資産額100万円、営業保証金最低額15万円(取引額400万円未満の場合)と、第3種(基準資産額300万円・営業保証金最低額300万円)よりさらに低く設定されています(2026年8月時点・施行規則第3条・別表第一)。地域のインバウンド対応や着地型ツアーの運営に活用されることがあります。

登録申請の流れと申請先

申請先の行政庁と申請窓口

登録申請先は登録種別によって異なります。第1種旅行業は観光庁長官(申請先: 観光庁。旅行業法施行規則第1条の2第1号)、第2種・第3種・地域限定旅行業および旅行業者代理業は、主たる営業所の所在地の都道府県知事(旅行業法第67条・旅行業法施行令第5条第1項)に申請します。

都道府県知事への申請は、都道府県の観光担当部署が窓口となります。各都道府県によって様式や添付書類の指定が異なる場合があるため、事前に担当窓口に問い合わせて必要書類を確認することが重要です。

登録申請に必要な主な書類

登録申請に必要な書類は各行政庁の様式に従います。一般的に定款・登記事項証明書(法人の場合)、財務書類(貸借対照表等)、旅行業務取扱管理者の合格証書、営業所の平面図などが必要とされます。

書類の不備があると審査が延長されます。申請先の行政庁の窓口での事前相談を活用し、必要書類リストを早めに入手しておくことをおすすめします。

登録拒否事由への注意(旅行業法第6条第1項)

旅行業法第6条第1項には登録拒否事由が列挙されています。登録取消し後5年未満(第1号)・拘禁刑等後5年未満(第2号)・暴力団員等(第3号)・申請前5年以内の旅行業務に関する不正行為(第4号)などが主な事由です。

法人申請の場合、役員に第1号・第2号・第3号・第4号・第6号に該当する者がいると登録を拒否されます(第7号)。旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない場合(第9号)や財産的基礎を満たさない場合(第10号)も登録拒否の対象です。申請前に役員・事業者の状況を確認してください。

財産的基礎の要件——基準資産額と営業保証金

基準資産額の算定方法(施行規則第4条)

基準資産額の算定方法は旅行業法施行規則第4条に定められています。「資産総額(繰延資産・営業権を除く)から負債総額と営業保証金の額(保証社員の場合は弁済業務保証金分担金の額)を控除した額」が基準資産額です。登録申請時には貸借対照表等をもとにこの額が算定されます。

算定の結果が施行規則第3条の要件額(第1種3,000万円・第2種700万円・第3種300万円・地域限定100万円)を下回ると旅行業法第6条第1項第10号に基づき登録を拒否されます。開業前に会計書類を整理し、要件を満たしているか確認することが重要です(2026年8月時点)。

営業保証金の供託(施行規則別表第一)

旅行業の登録後は、旅行者保護のために営業保証金を法務局等に供託しなければなりません(旅行業法第8条第1項・施行規則第7条)。供託額は旅行業法施行規則別表第一に定められており、前事業年度の旅行者との取引額が400万円未満の場合の最低額は、第1種7,000万円・第2種1,100万円・第3種300万円・地域限定15万円です(2026年8月時点)。

営業保証金を供託していなければ旅行業務の取り扱いを開始できません。特に第1種の7,000万円は多額であるため、旅行業協会の保証社員制度(弁済業務保証金分担金)の活用が多く見られます。

弁済業務保証金分担金のメリット

旅行業協会(JATA・ANTA)の保証社員となった場合、弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付することで、営業保証金の供託に代えることができます(旅行業法第49条第1項)。分担金の額は弁済業務規約で定める額ですが、観光庁「旅行業法概要」によれば「本来の営業保証金の5分の1に当たる額」とされています(2026年8月時点)。

各種別の弁済業務保証金分担金の目安(2026年8月時点・観光庁「旅行業法概要」参照・取引額400万円未満の場合)は第1種1,400万円・第2種220万円・第3種60万円・地域限定3万円です。弁済業務保証金分担金を利用することで開業時の資金負担を大幅に軽減できます。

旅行業務取扱管理者の選任——開業前に必ず確保してください

選任義務の根拠と罰則

旅行業法第11条の2第1項は、旅行業者等は営業所ごとに一人以上の旅行業務取扱管理者を選任して旅行者への取引の公正確保等の措置を行わせなければならないと定めています。この義務の名宛人は旅行業者(事業者)です。

旅行業務取扱管理者の選任を怠った事業者は、登録拒否(法第6条第1項第9号)・契約締結禁止(法第11条の2第2項)・30万円以下の罰金(法第79条第3号・第4号)の対象となります。旅行業法には無資格者個人の業務を禁じる規定・処罰する規定は存在せず、選任義務違反の名宛人は事業者です(2026年9月時点)。

営業所が取り扱う旅行の範囲で選任できる資格が決まる

旅行業務取扱管理者として選任できる資格の種別は、登録種別ではなく「営業所が取り扱う旅行の範囲」によって決まります(旅行業法第11条の2第6項)。同条の基準は3区分です。第1号(拠点区域内の本邦内旅行のみ)は地域限定・国内・総合のいずれでも可、第2号(拠点区域を超える本邦内の旅行のみ)は国内または総合、第3号(海外旅行を含む)は総合のみです。

この基準は登録種別とは独立した判断です。第1種旅行業者でも本邦内のみを取り扱う営業所には国内旅行業務取扱管理者を選任できます。第3種・地域限定でも海外旅行を取り扱う営業所には総合が必要です。登録種別だけで選任できる管理者を断定することはできません(2026年9月時点)。

旅行業務取扱管理者試験の概要(令和8年度)

旅行業務取扱管理者試験は、旅行業法第11条の3第1項に基づき観光庁長官が実施します。観光庁長官は申請により旅行業協会(JATA・ANTA)に試験事務を行わせることができます(法第69条第1項)。申請するのは旅行業協会です。

令和8年度の試験概要(2026年8月時点・各機関の受験要項)は次のとおりです。総合は受験手数料13,000円(非課税)・システム利用料660円(税込)・2026年10月25日(日)・マークシート・指定会場。国内は受験手数料8,000円(非課税)・システム利用料660円(税込)・CBT方式(全国47都道府県のテストセンターで2026年9月3日(木)~25日(金)から日時を選択)。地域限定は受験手数料5,500円(収入印紙納付・システム利用料なし)・2026年9月27日(日)・会場筆記です。最新の申込期間等は公式受験案内(総合=日本旅行業協会、国内=全国旅行業協会、地域限定=観光庁)でご確認ください。

旅行業協会(JATA・ANTA)の役割と加入

旅行業協会の法的位置づけ

日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)は、旅行業法第41条第1項に基づき観光庁長官が指定した旅行業協会です(2026年9月時点)。

旅行業協会は旅行者からの苦情解決(法第45条)・研修の実施(法第46条)・弁済業務保証金制度の運営などを担っています。

保証社員となるメリットと加入手続き

旅行業協会の保証社員となることで、営業保証金の供託に代えて弁済業務保証金分担金(営業保証金の5分の1相当・2026年8月時点)の納付を選択できます(旅行業法第49条第1項)。旅行業協会への加入は義務ではありませんが、開業時の資金負担を軽減できる選択肢として検討する価値があります。

加入申請の手続きや審査基準の詳細は、JATAまたはANTAの各窓口にご確認ください。JATAは海外旅行を含む旅行業者、ANTAは国内旅行専業の旅行業者が多く加入しています。

協会非加入の場合

旅行業協会に加入しない場合は、施行規則別表第一が定める額の営業保証金を法務局等に直接供託する必要があります。第1種の最低額7,000万円などは多額であるため、多くの旅行業者が旅行業協会の保証社員として弁済業務保証金分担金を納付する方法を選んでいます(2026年8月時点)。

開業後に押さえておくべき実務の基礎

書面交付義務と旅行業約款の整備

旅行業者は旅行者と契約を結ぶ前に、取引条件を記載した書面を交付または電磁的方法により提供する義務を負います(旅行業法第12条の4・第12条の5)。旅行業約款は観光庁長官の認可を受けるか(法第12条の2第1項)、標準旅行業約款(法第12条の3)に準拠したものを使用します。開業前に約款の整備を完了させておく必要があります。

旅程管理主任者の配置

募集型・受注型の企画旅行(主催旅行)を実施する場合、添乗員として旅程管理主任者を配置する義務があります。旅程管理主任者は観光庁長官の登録を受けた登録研修機関が実施する旅程管理研修の課程を修了し、かつ所定の実務経験を有する者です(旅行業法第12条の11第1項・2026年9月時点)。

旅行業務取扱管理者の資格と旅程管理主任者の資格は別個の要件です。添乗員を必要とする企画旅行を実施する場合は、旅程管理主任者の資格を持つ人材の確保も必要です。

定期研修と登録の更新

旅行業務取扱管理者は、選任後も一定期間ごとに定期研修を受講する義務があります(旅行業法第11条の2第7項。2018年改正で義務化)。

旅行業の登録には有効期間があり、5年ごとに更新が必要です(旅行業法第6条の2)。有効期間満了前に更新申請を行わなければ登録が失効します。旅行業者は毎事業年度終了後に事業報告書を行政庁に提出する義務もあります(旅行業法第9条)。

旅行会社の開業前に、以下の事項を確認してください。

  • 登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)を決定した
  • 申請先の行政庁(第1種は観光庁長官、第2種以下は都道府県知事)を確認した
  • 基準資産額の要件(施行規則第3条に定める種別ごとの金額)を満たす財務状況がある
  • 営業保証金の供託(または旅行業協会の保証社員として弁済業務保証金分担金の納付)の準備がある
  • 旅行業務取扱管理者(営業所ごとに1名以上)の選任予定者を確保した
  • 選任予定者が登録拒否事由(旅行業法第6条第1項)に該当しないことを確認した
  • 旅行業約款の整備が完了し、契約書面の様式を確認した
  • 旅行業協会(JATA・ANTA)への加入の要否を検討した
  • 主たる営業所の場所・設備が整った
  • 登録申請書類の必要書類リストを申請先の行政庁から入手した

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旅行会社の開業完全ガイド【2026年最新】登録申請手続き・営業保証金・旅行業務取扱管理者の選任から開業後の実務まで徹底解説 - まとめ

よくある質問(FAQ)

旅行会社を開業するにはどのような資格が必要ですか?
旅行業法第3条に基づく旅行業の登録が必要です。登録に際しては、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません(同第11条の2第1項)。管理者の資格には取り扱う旅行の範囲に応じて総合・国内・地域限定の3種別があります。旅行業の登録は法人でも個人でも申請できますが、基準資産額(施行規則第3条)の要件を満たす必要があります(2026年8月時点)。
地域限定旅行業務取扱管理者の資格で旅行会社を開業できますか?
営業所が取り扱う旅行の範囲が「拠点区域内の本邦内旅行のみ」に限られる場合は地域限定旅行業務取扱管理者を選任できます(旅行業法第11条の2第6項第1号)。拠点区域を超える旅行を取り扱う営業所には国内または総合の管理者が必要です。選任できる資格は登録種別ではなく取り扱う旅行の範囲で決まります。
旅行業の登録申請から開業まで、どのくらいの期間がかかりますか?
申請書類の準備期間を含めると数か月から半年程度かかるのが一般的です。審査期間は都道府県によって異なり、書類に不備があると延長されます。申請先の行政庁に事前相談を行い、必要書類を早めに確認することが重要です。具体的な標準処理期間は申請先の行政庁にご確認ください。
旅行業務取扱管理者を社外委託で対応できますか?
旅行業務取扱管理者は当該営業所に選任する必要があります(旅行業法第11条の2第1項)。単なる外部委託では要件を満たさない場合があります。2018年改正で近接する複数の営業所での兼務が認められる要件も設けられています(法第11条の2第5項)。詳細は申請先の行政庁にご確認ください。
旅行業協会に加入しなければ旅行会社を開業できませんか?
旅行業協会への加入は義務ではありません。加入せずに旅行業を営む場合は施行規則別表第一が定める額の営業保証金を法務局等に供託する方法で開業できます。旅行業協会の保証社員となると、弁済業務保証金分担金(営業保証金の5分の1相当)の納付で供託に代えることができます(旅行業法第49条第1項・2026年8月時点)。

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