旅行業界で働きたい方にとって、旅行会社の種類と業務内容を正しく理解することは、キャリア設計の第一歩となります。旅行会社と一口に言っても、扱える業務範囲は登録区分によって大きく異なり、必要な資格や求められるスキルも多岐にわたります。本記事では、旅行業法に基づく登録区分から実務上の業態分類、職種ごとの業務内容、必要な国家資格、2026年最新の試験制度まで、旅行業界を目指す方に必要な情報を体系的に整理して解説します。
旅行業法に基づく旅行会社の登録区分
第1種旅行業(総合旅行業)の業務範囲と特徴
第1種旅行業は、観光庁長官の登録を受けた事業者で、国内外すべての旅行を取り扱える最も業務範囲の広い区分です。海外募集型企画旅行(パッケージツアー)を自社で企画・販売できるのは第1種のみであり、HISやJTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行といった大手旅行会社の多くがこの区分に該当します。営業保証金は7,000万円、基準資産額は3,000万円が必要となり、新規参入のハードルは非常に高く設定されています。
2026年現在、第1種旅行業の登録事業者数は約700社前後で推移しており、業界再編が進む中で大手への集約傾向が見られます。総合旅行業務取扱管理者の選任が営業所ごとに必要であり、海外旅行の知識を含む高度な専門性が求められます。インバウンド需要の回復に伴い、訪日外国人向けの企画商品の開発にも力を入れる会社が増加しています。
業務の幅広さから、新卒採用や中途採用の枠も比較的多く、旅行業界でキャリアを積みたい方にとっては第1種旅行業への就職が王道ルートと言えます。給与水準は中堅以上で安定しており、海外駐在のチャンスがある会社も少なくありません。
第2種旅行業(国内旅行業)の業務範囲と特徴
第2種旅行業は、都道府県知事の登録を受けた事業者で、国内の募集型企画旅行と受注型企画旅行、手配旅行を取り扱えます。海外の募集型企画旅行は自社で企画できませんが、他社が企画した海外旅行を販売する代理販売は可能です。営業保証金は1,100万円、基準資産額は700万円となっており、第1種に比べると参入障壁は下がります。
2026年の登録事業者数は約3,000社程度で、地方都市に拠点を置く中小規模の旅行会社が中心です。修学旅行や社員旅行、地域の観光協会と連携した着地型観光商品の企画など、地域密着型のビジネスモデルが特徴的です。国内旅行業務取扱管理者の資格があれば、選任管理者として営業所運営に携わることができます。
近年は地方創生やワーケーションといった新しい旅行スタイルへの対応も求められており、国内旅行に特化した深い知識と地域とのネットワーク構築が競争力の源泉となります。第2種からスタートして実績を積み、第1種への登録変更を目指す事業者も存在します。
第3種旅行業と地域限定旅行業の業務範囲
第3種旅行業は、手配旅行と受注型企画旅行、そして隣接市町村における募集型企画旅行を取り扱えます。営業保証金は300万円、基準資産額は300万円と参入しやすく、中小規模の旅行代理店や地方の観光業者が多く登録しています。2018年に施行された地域限定旅行業は、さらに業務範囲を狭めた区分で、営業所のある市町村と隣接市町村のみで企画旅行を実施でき、営業保証金は15万円と非常に低く設定されています。
地域限定旅行業の登場により、農家民宿や地域おこし協力隊、観光ガイド団体などが旅行業に参入しやすくなりました。2026年時点で地域限定旅行業の登録は1,500件を超え、観光庁が推進する地域観光戦略の重要な担い手となっています。地域限定旅行業務取扱管理者という新設資格があり、研修受講により取得できる点も特徴的です。
これらの区分は、地域の特色を活かした体験型観光や着地型ツアーの提供に適しており、ニッチな市場で独自性を発揮する事業展開が可能です。小規模ながらも収益性の高いビジネスモデルを構築している事例が各地で生まれています。
旅行業者代理業の業務範囲と位置づけ
旅行業者代理業は、第1種・第2種・第3種旅行業者の代理として旅行業務を行う事業者です。自社で企画旅行を造成することはできず、契約を結んだ所属旅行業者の商品を販売します。営業保証金は不要ですが、所属旅行業者との委託契約が前提となります。家電量販店内の旅行カウンターや、地方のフランチャイズ店舗などがこの区分で運営されているケースが多く見られます。
代理業のメリットは、自社で旅行商品を企画する負担がなく、販売に専念できる点にあります。一方で取り扱える商品は所属旅行業者のものに限られるため、商品ラインナップの自由度は制限されます。営業所ごとに旅行業務取扱管理者の選任は必要となります。
業態別に見る旅行会社の特色
アウトバウンド業務を中心とする旅行会社
アウトバウンドとは、日本人が海外へ渡航する旅行のことを指します。アウトバウンド業務を中心とする旅行会社では、海外パッケージツアーの企画、航空券・ホテルの手配、海外旅行保険の販売、ビザ取得サポートなどを行います。HISやエイチ・アイ・エス、JTBの海外事業部門が代表的な例で、扱う商品の種類は数千から数万にのぼります。
アウトバウンド業務には、英語を含む語学力、各国の地理・文化・宗教・出入国規制への深い知識が求められます。新型コロナウイルスの影響で一時的に業務量が激減した分野ですが、2026年現在は回復基調にあり、海外渡航者数はコロナ前の8割程度まで戻ってきています。富裕層向けのラグジュアリーツアーや、若年層向けのSNS映えツアーなど、ターゲットを絞った商品企画が活発化しています。
インバウンド業務を専門とする旅行会社
インバウンドとは、外国人が日本を訪れる旅行のことです。インバウンド専門の旅行会社では、訪日外国人向けの旅行手配、観光ガイドの派遣、通訳サービス、団体ツアーの運営などを行います。政府観光局(JNTO)の発表によると、2026年の訪日外国人数は3,500万人を超える見通しで、市場は急成長を続けています。
インバウンド業務では、英語・中国語・韓国語などの語学力に加え、日本文化を外国人に伝える表現力が重要です。地方の隠れた観光資源を発掘し、外国人目線で魅力的な商品に仕立てる企画力も求められます。富裕層向けのアドベンチャーツーリズムや、地方の文化体験ツアーなど、付加価値の高い商品が高単価で販売されています。
インバウンド専門会社では、海外OTA(Online Travel Agent)との提携や、SNSを活用した海外プロモーションのスキルも重要な競争力となります。多言語対応のウェブサイト運営や、海外旅行博への出展なども日常業務に含まれます。
ランドオペレーター(ツアーオペレーター)の役割
ランドオペレーターは、現地の宿泊施設・交通機関・観光施設の手配を専門に行う事業者です。日本の旅行会社から委託を受けて、海外現地での全行程をコーディネートします。ハワイのJTBハワイや、欧州のミキ・ツーリストなどが代表例です。2018年の旅行業法改正により、ランドオペレーターも観光庁への登録が義務化され、無登録営業は罰則対象となりました。
ランドオペレーター業務では、現地のサプライヤー(ホテル、バス会社、レストラン等)との交渉力、現地スタッフのマネジメント能力、トラブル発生時の対応力が問われます。多くの会社では現地法人として運営されており、駐在員として勤務するキャリアパスもあります。日本の旅行業界で経験を積んだ後、海外駐在を目指す方にとって魅力的な選択肢の一つです。
センディング業務を担う特殊な旅行会社
センディング会社は、空港でのチェックイン手続き代行、団体客の搭乗手続き、機内預け入れ手荷物の取り扱いなどを行う特殊な業態です。大手旅行会社のツアー客が空港に到着した際、スムーズに搭乗できるようサポートする役割を担います。早朝・深夜のシフト勤務が多く、繁忙期には複数のツアーが重なるため高い業務処理能力が求められます。
この業務は、旅行会社本体が直接行う場合と、専門のセンディング会社に委託する場合があります。空港での実務経験は、後にツアーコンダクターや旅程管理主任者として活躍する際の貴重な財産となります。
旅行会社の主要登録区分比較表
業務範囲と保証金の一覧
| 登録区分 | 登録先 | 営業保証金 | 基準資産額 | 海外募集型企画旅行 | 国内募集型企画旅行 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1種旅行業 | 観光庁長官 | 7,000万円 | 3,000万円 | 可 | 可 |
| 第2種旅行業 | 都道府県知事 | 1,100万円 | 700万円 | 不可 | 可 |
| 第3種旅行業 | 都道府県知事 | 300万円 | 300万円 | 不可 | 隣接市町村のみ可 |
| 地域限定旅行業 | 都道府県知事 | 15万円 | 100万円 | 不可 | 営業所のある市町村と隣接のみ可 |
| 旅行業者代理業 | 都道府県知事 | 不要 | 不要 | 所属旅行業者次第 | 所属旅行業者次第 |
各区分の選任管理者要件
すべての旅行業区分では、営業所ごとに旅行業務取扱管理者の選任が義務付けられています。第1種旅行業の営業所では総合旅行業務取扱管理者、第2種・第3種では国内旅行業務取扱管理者または総合旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業では地域限定旅行業務取扱管理者・国内旅行業務取扱管理者・総合旅行業務取扱管理者のいずれかの選任が必要です。
営業所が10名以上の場合は2名以上の選任が必要となるなど、規模に応じた配置基準も定められています。旅行業務取扱管理者は営業所の責任者として、契約締結時の重要事項説明や苦情対応、従業員教育などを担当します。2018年改正以降、研修受講義務も強化され、5年ごとの定期研修受講が必須となりました。
旅行会社で働く主要な職種
カウンター業務とトラベルカウンセラー
カウンター業務は、店舗を訪れたお客様の旅行相談を受け、最適な旅行プランを提案する仕事です。お客様の予算・希望日程・興味関心をヒアリングし、数多くの商品の中から最適なものを選び出すコンサルティング能力が求められます。JATA(日本旅行業協会)が認定するトラベルカウンセラー制度では、AC級・C級・B級・A級の4段階があり、上位資格者は高度な提案力を持つプロフェッショナルとして評価されます。
店頭での対面接客に加え、近年は電話・メール・チャットでの対応も増えており、コミュニケーションスキルが多様化しています。リピーター獲得のための顧客管理や、SNSでの情報発信なども現代のカウンター業務には欠かせません。年間の旅行販売額が一定基準を超えると、社内表彰や昇進の対象となることもあります。
トラベルカウンセラーとして経験を積むと、外商営業や法人営業へのキャリアアップも見えてきます。専門的な地域知識(例:ハワイ、ヨーロッパ、アジア等)を深めることで、特定分野のエキスパートとして社内外で重宝される存在となれます。
ツアーコンダクター(添乗員)の仕事
ツアーコンダクターは、団体旅行に同行して旅程管理を行う専門職です。旅程管理主任者の資格が必要で、国内旅程管理主任者と総合旅程管理主任者の2種類があります。指定機関の研修受講と実務経験により取得でき、研修費用は約3~5万円が相場です。フリーランスとして複数の旅行会社から業務を受託する働き方が一般的で、繁忙期と閑散期の収入格差が大きい職業でもあります。
添乗員の業務は、空港・駅での集合案内、観光地での説明、ホテルチェックイン、食事手配、トラブル対応、緊急時の医療機関手配まで多岐にわたります。特に海外ツアーでは、現地ガイドとの連携、ビザや出入国管理への対応、通貨や言語の違いへの配慮など、高度な専門知識が必要となります。1ツアーあたりの報酬は国内で1.5~3万円、海外で3~10万円程度が目安です。
長距離移動や深夜対応も多く体力的な負担は大きいですが、世界各地を訪れられる魅力的な仕事です。お客様から直接感謝される機会も多く、やりがいを感じやすい職種として人気があります。
企画造成・仕入れ担当の役割
企画造成担当は、新しい旅行商品を生み出す仕事です。市場調査、コンセプト設計、現地視察、コスト計算、パンフレット制作までを一貫して担当します。航空券の仕入れ価格やホテルの団体料金交渉など、コスト管理の知識も不可欠です。ヒット商品を生み出せば会社の業績に大きく貢献できるクリエイティブな職種で、業界経験5~10年以上のベテラン社員が任されるケースが多いです。
仕入れ担当は、航空会社・ホテル・現地ランドオペレーターとの料金交渉や座席・客室の確保を行います。為替変動や燃油サーチャージの動向を読み、適切なタイミングで仕入れを実行する判断力が求められます。長年の取引で築いた人脈と信頼関係が、競合他社に対する優位性を生み出します。
営業(法人・外商)と管理部門
法人営業は、企業の出張手配や社員旅行、報奨旅行(インセンティブツアー)、修学旅行などを受注する仕事です。大口顧客との長期的な関係構築が重要で、コンサルティング型の営業スタイルが主流となっています。年間取引額が数億円規模の顧客を担当することもあり、高度な提案力と交渉力が必要です。
管理部門には、経理・人事・総務・システム・マーケティングなどがあります。直接旅行商品を扱う部署ではありませんが、会社全体を支える重要な役割を担います。旅行業界出身者だけでなく、他業界からのキャリア採用も活発な領域です。
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旅行業務取扱管理者試験の制度詳細
3種類の試験区分とそれぞれの違い
旅行業務取扱管理者には、総合旅行業務取扱管理者・国内旅行業務取扱管理者・地域限定旅行業務取扱管理者の3区分があります。総合は国内外すべての旅行業務を担当でき、国内は国内旅行のみ、地域限定は営業所所在地と隣接市町村に限定されます。試験の難易度は総合が最も高く、地域限定が最も易しい順となります。
総合旅行業務取扱管理者試験は毎年10月の第2日曜日に、国内旅行業務取扱管理者試験は毎年9月の第1日曜日に実施されます。地域限定旅行業務取扱管理者試験は7月頃に実施されることが多く、各試験の合格率は総合が約25%、国内が約35%、地域限定が約65%となっています。受験資格に年齢・学歴・実務経験の制限はなく、誰でも受験可能です。
試験科目と出題範囲
総合旅行業務取扱管理者試験の科目は、旅行業法及びこれに基づく命令、旅行業約款・運送約款及び宿泊約款、国内旅行実務、海外旅行実務の4科目です。国内旅行業務取扱管理者試験は前3科目のみとなります。各科目の合格基準は満点の60%以上で、1科目でも基準を下回ると不合格となる足切り方式が採用されています。
海外旅行実務には英語の出題が含まれ、観光資源・地理・出入国法令・国際航空運賃・時差計算など幅広い知識が問われます。国内旅行実務でも、JR運賃計算・国内観光地理・宿泊業務など実務的な内容が中心です。法令・約款の科目は条文の正確な理解が求められ、暗記量の多さが受験者を悩ませる部分です。
合格基準は科目別の足切りに加え、全体での合計点数も加味されるため、苦手科目を作らずバランスよく学習することが重要となります。過去問の徹底分析と、最新の法改正情報のキャッチアップが合格への王道です。
受験料・申込方法・試験会場
受験料は2026年現在、総合旅行業務取扱管理者試験が6,500円、国内旅行業務取扱管理者試験が5,800円、地域限定旅行業務取扱管理者試験が5,800円となっています。申込は6月から7月にかけてオンラインで受付され、観光庁長官指定試験機関である日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)のウェブサイトから手続きします。
試験会場は、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の主要都市に設けられ、受験者は最寄りの会場を選択できます。総合試験は約9,000人、国内試験は約11,000人が毎年受験しており、旅行業界を目指す方にとって登竜門となる国家資格です。受験票は試験日の2週間前頃に発送されます。
科目免除制度の活用
旅行業務取扱管理者試験には科目免除制度があります。前年度に総合または国内試験で合格基準を満たした科目がある場合、翌年度に限り当該科目が免除されます。また、国内旅行業務取扱管理者試験の合格者が総合試験を受験する場合、旅行業法・約款・国内旅行実務の3科目が免除され、海外旅行実務のみで受験可能です。
この免除制度を活用すれば、段階的に資格を積み上げる戦略的な学習計画が立てられます。まず国内試験に合格してから翌年総合試験を受ける受験者は多く、合格率も上昇する傾向にあります。働きながらの受験では、学習負担を分散できる現実的な選択肢となります。
合格に向けた効果的な学習方法
独学と通信講座の比較選択
旅行業務取扱管理者試験の学習方法には、独学・通信講座・通学講座の3つの選択肢があります。独学の場合、市販テキストと過去問題集を使い、費用は1~2万円程度に抑えられます。一方、200~300時間の学習時間を一人で管理する自己規律が必要です。書店で販売されている主要なテキストには、JTB総合研究所や東京リーガルマインドの教材があります。
通信講座は、ユーキャン・フォーサイト・資格の大原・LECなどが講座を提供しており、費用は5~8万円程度です。動画講義・添削指導・質問サポート・最新法改正情報の提供などが含まれ、効率的な学習が可能です。働きながらの受験生に支持されています。通学講座は最も費用がかかりますが、ライブ授業や他の受験生との交流による学習効果が期待できます。
自分の学習スタイル・予算・確保できる時間を冷静に評価し、最適な方法を選びましょう。途中で挫折しないためには、適度な強制力のある通信講座が初学者には向いていると言われています。
学習時間の目安と計画立て
合格に必要な学習時間は、国内旅行業務取扱管理者で150~200時間、総合旅行業務取扱管理者で250~350時間が目安とされています。実務経験者や旅行好きで地理知識が豊富な方は短縮可能ですが、まったくの初学者は上記時間以上を確保することが推奨されます。試験日から逆算して、6ヶ月前から計画的に学習を始めるのが理想的です。
平日に1時間、休日に3時間という配分なら、月間40時間程度を確保できます。6ヶ月で240時間となり、国内試験には十分対応可能です。総合試験を目指す場合は8ヶ月以上の準備期間を見込みましょう。学習開始が遅れた場合は、得意分野を作って苦手分野は最低限の得点を狙う戦略的アプローチが必要です。
受験準備チェックリスト
- 受験する試験区分(総合・国内・地域限定)を決定する
- 学習方法(独学・通信・通学)を選択し教材を購入する
- 試験日から逆算した学習計画表を作成する
- 平日と休日の学習時間枠を確保する
- 主要テキストを1周読み込み全体像を把握する
- 科目別に過去5年分の問題を解く
- 間違えた問題は専用ノートに記録し復習する
- 法改正情報を観光庁ウェブサイトで定期確認する
- 模擬試験を試験1ヶ月前と2週間前に受験する
- 申込期間中に受験申請を完了する
- 試験会場の場所と交通手段を事前確認する
- 受験票・身分証・筆記用具を試験前日に準備する
過去問演習と弱点克服の進め方
過去問演習は合格への最短ルートです。最低でも過去5年分、可能であれば10年分の問題を繰り返し解きましょう。1周目は理解度を確認する目的で、2周目以降は時間を計って本番形式で解きます。間違えた問題は専用ノートに整理し、なぜ間違えたかを必ず分析します。同じパターンのミスを繰り返さないことが、得点力向上の鍵となります。
科目別の弱点が明確になったら、該当分野のテキストを再読し、関連する過去問を集中的に解きます。海外旅行実務の英語問題が苦手な方は、TOEIC公式問題集なども併用すると効果的です。国内地理が弱い方は、地図帳を見ながら主要観光地の位置関係を視覚的に記憶していく方法が有効です。
旅行業界のキャリアと将来性
新卒採用と中途採用の動向
2026年の旅行業界の新卒採用は、コロナ禍からの回復を反映して活発化しています。大手3社(HIS・JTB・KNT-CTホールディングス)の新卒採用人数は合計1,000名規模に戻り、地方の中堅旅行会社でも採用を再開する動きが広がっています。求められる人材像は、語学力に加えてデジタルマーケティングやデータ分析のスキルを持つ複合型人材へとシフトしています。
中途採用市場では、即戦力となる総合旅行業務取扱管理者資格保有者の需要が高く、年収500~700万円の求人も珍しくありません。インバウンド事業の拡大に伴い、多言語対応可能な人材や海外駐在経験者の求人が増加しています。異業種からの転職も歓迎される傾向にあり、IT・マーケティング・ホテル業界出身者が活躍する場面が広がっています。
独立開業と地域限定旅行業の可能性
地域限定旅行業の登場により、個人や小規模事業者の旅行業参入が現実的な選択肢となりました。営業保証金15万円という低い参入障壁を活かし、地域おこし・農泊・体験型観光などの分野で独立開業する事例が全国で生まれています。地域限定旅行業務取扱管理者の資格を取得すれば、自営業として旅行ビジネスを始められます。
独立成功の鍵は、地域固有の魅力を発掘し、他では味わえない体験商品に仕立てる企画力です。SNSやウェブサイトを活用した情報発信、地元自治体・観光協会との連携、リピーター獲得のための顧客管理など、ビジネス全般のスキルが問われます。年間売上1,000~3,000万円規模の事業に成長させた事例も報告されています。
デジタル化とAI時代の旅行業
旅行業界は、OTA(楽天トラベル・じゃらん・Booking.com等)の台頭やAIチャットボットの普及により、急速にデジタル化が進んでいます。従来のカウンター業務は減少傾向にある一方、データ分析に基づくパーソナライズされた旅行提案や、SNSインフルエンサーとの協業による新しいマーケティング手法が主流となっています。
AI時代に生き残る旅行業のプロフェッショナルは、デジタルツールを使いこなしつつ、人にしかできない深い人間関係構築・複雑な要望への柔軟対応・文化的背景を踏まえた価値提案ができる人材です。語学力・コミュニケーション力・データリテラシーの3要素を兼ね備えることが、長期的なキャリア成功の条件と言えます。
キャリア発展のための継続学習
旅行業界でキャリアを発展させるには、資格取得後も継続的な学習が欠かせません。トラベルカウンセラー制度の上位資格挑戦、旅程管理主任者資格の取得、海外駐在に向けた語学力強化、デジタルマーケティング・データ分析スキルの習得など、複数の学習目標を持つことが推奨されます。
業界団体が主催するセミナーや、観光庁の最新政策説明会への参加も貴重な学びの機会です。SNSで業界の動向を発信する有識者をフォローし、最新のトレンドをキャッチアップする習慣も大切です。さらに専門性を高めたい方は、旅行業務取扱管理者通信講座のすすめで体系的な学習方法を確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 旅行業務取扱管理者の資格は実務経験なしでも取得できますか
はい、可能です。旅行業務取扱管理者試験には年齢・学歴・実務経験などの受験資格制限はなく、誰でも受験できます。学生・主婦・他業界の社会人など、未経験者からの合格事例も多数あります。実務経験がない場合でも、適切な教材と学習時間を確保すれば合格は十分可能です。
Q2. 総合と国内のどちらを先に受けるべきですか
個人の状況によりますが、まず国内試験に合格してから翌年総合試験を受けるルートが一般的です。国内試験合格者は総合試験で3科目免除となり、海外旅行実務のみの受験で済みます。学習負担を分散でき、合格可能性が高まる戦略的なアプローチです。
Q3. 試験の合格率はどのくらいですか
2026年時点で総合旅行業務取扱管理者試験の合格率は約25%、国内旅行業務取扱管理者試験は約35%、地域限定旅行業務取扱管理者試験は約65%です。難関と言えるレベルですが、計画的に学習すれば突破可能な水準です。
Q4. 旅行会社に就職するには資格が必須ですか
就職段階では資格は必須ではありません。多くの旅行会社では入社後に資格取得を奨励しており、社内研修制度や受験費用補助を設けている会社もあります。ただし、選任管理者として営業所運営に携わるには資格が必要となるため、キャリア形成上は早期取得が望ましいです。
Q5. 旅行業界の年収水準はどのくらいですか
2026年の旅行業界平均年収は約400~500万円で、業種別に見ると中央値レベルです。大手企業の管理職クラスでは700~1,000万円、外資系旅行会社や富裕層向け専門会社ではさらに高水準の事例もあります。資格保有者は手当が支給されることが多く、月額3,000~10,000円程度の資格手当が一般的です。
Q6. 通信講座と独学のどちらが効率的ですか
初学者には通信講座が効率的とされています。動画講義による視覚的理解、添削指導による弱点把握、最新法改正情報の自動提供などのメリットがあります。一方、自己管理能力が高く時間に余裕がある方は独学でも合格可能で、費用を3分の1程度に抑えられます。
Q7. 試験に落ちた場合の再チャレンジは可能ですか
もちろん可能です。受験回数に制限はなく、毎年再受験できます。一部科目で合格基準を満たした場合は翌年に限り科目免除が適用されるため、合格までの道のりを短縮できます。複数年計画で合格を目指す受験者も少なくありません。

