国内旅行業務取扱管理者試験はCBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、全国47都道府県のテストセンターで受験期間中の好きな日時に受験できる国家試験です。旅行業法令・旅行業約款・国内旅行実務の3科目で構成され、令和7年度(2025年度)の全科目合格率は34.1%でした。令和9年度(2027年)の試験に向け、7月に通信講座を開始して3か月で合格を目指す学習プランを体系的に解説します。

国内旅行業務取扱管理者試験の基本制度 — CBT方式・3科目・受験要件の全体像
CBT方式で全国受験・3科目構成の特徴
国内旅行業務取扱管理者試験は、旅行業法第11条の3第1項に基づき観光庁長官が実施する国家試験です。試験事務は全国旅行業協会(ANTA)が受託しています(旅行業法第69条第1項)。受験に学歴・年齢・実務経験等の制限はなく、だれでも受験できます。
試験科目は旅行業法施行規則第12条が定める3科目です。
| 科目 | 出題内容 | 試験形式 |
|---|---|---|
| 旅行業法令 | 旅行業法及びこれに基づく命令(施行令・施行規則) | CBT・択一式 |
| 旅行業約款 | 旅行業約款・運送約款・宿泊約款 | CBT・択一式 |
| 国内旅行実務 | JR運賃計算・国内地理・宿泊料金計算ほか | CBT・択一式 |
CBT方式では全国47都道府県のテストセンターで、受験期間中の好きな日時を選択して受験します。令和8年度(2026年)は2026年9月3日(木)~25日(金)が受験期間でした。令和9年度の試験スケジュールは2026年10月時点では未公表です。最新情報は全国旅行業協会(ANTA)の受験案内で必ずご確認ください。
合格率と難易度の実態(令和7年度実績)
令和7年度(2025年度)の国内旅行業務取扱管理者試験の実績は次のとおりです(2026年8月時点・ANTA実施状況より)。
- 受験者数:9,759名(全科目受験)
- 合格者数:3,330名(全科目)
- 合格率:34.1%(全科目)/35.6%(計)
3科目すべてで合格基準点以上を取る必要があります。1科目でも基準点に届かなければ不合格になるため、苦手科目を作らない学習設計が重要です。科目合格制度があり、合格した科目は翌年度の試験に限り免除の申請が可能です(施行規則第20条第3号・第4号)。ただし免除は申請制のため、施行規則第13条第2項の手続きを行わなければ全科目受験になります。
受験手数料と申込みの流れ(令和8年度実績)
受験手数料は8,000円(非課税)で、別途システム利用料660円(税込)が必要です(2026年8月時点のANTA受験案内より)。申込方法はインターネットのみで、書面申請は不可です。受験申込から試験日時の予約まで、すべてANTAの受験案内サイト経由で完結します。申込期間は令和8年度実績で6月下旬から開始されました。令和9年度の申込期間は未公表のため、ANTAの公式サイトで最新情報をご確認ください。
通信講座で3か月合格を目指せる理由
国内試験の学習量の見積もり
国内試験の出題範囲は総合試験の4科目より狭く、海外旅行実務(国際航空運賃・時差計算・海外地理等)が含まれません。旅行業法令は条文・用語の理解が中心で、旅行業約款は旅行業約款・運送約款・宿泊約款の3約款から出題されます。国内旅行実務はJR運賃計算・国内地理・宿泊料金計算の3分野が中心です。総合試験より範囲が限定されているため、集中的な学習設計が成立しやすい試験です。ただし学習時間の確保は個人差があるため、自分のペースを確認しながら進めてください。
通信講座と独学の比較
| 比較項目 | 通信講座 | 独学 |
|---|---|---|
| 学習スケジュール | 講座のカリキュラムに沿って進められる | 自分で設計が必要 |
| テキスト | 受講料に含まれる場合が多い | 市販テキストを選んで購入 |
| 疑問点の解消 | 質問・添削サービスを利用できる | 自己解決が必要 |
| 費用の目安 | 2万円台~5万円台 | 5,000円~15,000円程度 |
| 向いている人 | 仕事・育児と両立しながら短期間で合格したい人 | 自己管理が得意でペース調整に慣れている人 |
3か月という短期間で合格を目指すなら、「何を学ぶか」の選定に時間を使わず、「どれだけ繰り返すか」に集中できる通信講座が有利です。迷う時間を減らした分をアウトプット(問題演習)に充てられます。教育訓練給付金の対象講座であれば、受講費の一部を補助してもらえる場合もあります(対象講座かどうかはハローワークまたは講座サイトでご確認ください)。
科目免除を事前に確認する
国内試験の科目合格は翌年度の同試験でのみ免除申請が可能です(施行規則第20条第3号・第4号)。国内試験合格者が総合試験を受験する場合は「法令」と「国内旅行実務」の2科目免除の申請ができます(施行規則第20条第1号)が、これは方向が逆(国内→総合)であり、国内試験自体の範囲を減らすものではありません。受講前に自分の免除資格の有無を確認し、免除申請が可能な場合は申込時に必要書類を準備してください(施行規則第13条第2項)。
令和9年度に向けた逆算スケジュール — 7月スタートで9月CBT合格を狙う全体像
試験スケジュールの見通し(令和9年度)
令和9年度(2027年度)の国内試験は、2026年10月時点では日程が公表されていません。令和8年度(2026年)では申込受付が6月下旬に始まり、9月3日(木)~25日(金)の受験期間が設定されました。令和9年度も同程度のスケジュールが予想されますが、公式の試験日程・申込期間はANTAの受験案内でご確認ください。7月に通信講座を開始すれば、9月下旬のCBT受験まで約10週間(2か月半)の準備期間を確保できます。
3か月を3フェーズに分ける考え方
7月から3か月を3フェーズに分割し、毎月1科目を集中攻略する設計がシンプルで管理しやすいです。
| フェーズ | 期間の目安 | 重点科目 | 学習の目標 |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | 7月(4週間) | 旅行業法令 | 登録制度・管理者選任・保証金の条文理解 |
| フェーズ2 | 8月(4週間) | 旅行業約款(3約款) | 取消料・変更補償金・宿泊約款の要点暗記 |
| フェーズ3 | 9月前半(2週間) | 国内旅行実務+総復習 | 計算問題の反復と全科目の弱点補強 |
旅行業法令と約款は条文・規程の暗記と理解が中心なので先行して固め、計算問題が含まれる国内旅行実務は直前期に集中するのが定石です。フェーズ3では法令・約款の総復習も並行して行い、3科目すべてを得点圏に引き上げます。
週次の学習目安と1日の学習量
平日1~2時間・休日3~4時間確保できれば、3か月で3科目を網羅できます。学習時間の確保は個人差があるため、通信講座の進捗管理機能や学習ログを活用して自分のペースを把握してください。週末に「先週の進捗確認・遅れの補填・翌週の計画」を行う週次チェックの習慣が短期合格を支えます。
フェーズ1(7月) — 旅行業法令を4週間で完全理解する
旅行業法令科目の出題傾向と重点論点
旅行業法令の試験範囲は旅行業法・同施行令・施行規則の全般です。毎年出題される頻出論点を整理します。
- 旅行業の定義(法第2条)と登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)
- 登録拒否事由(法第6条第1項)の11要件
- 管理者の選任義務(法第11条の2第1項)と選任基準3区分(同条第6項)
- 営業保証金(施行規則別表第一)と弁済業務保証金分担金(営業保証金の5分の1)の違い
- 試験の実施主体(観光庁長官・法第11条の3第1項)とANTAへの試験事務委託(法第69条第1項)
- 業務改善命令(法第18条の3)・業務停止・登録取消し(法第19条)と罰則(法第74条~第83条)
第1・2週(7月前半) — 条文インプットと用語の定着
通信講座のテキストで旅行業法第1条から読み進め、各条文の要点をまとめます。特に第2条(定義)・第3条(登録)・第6条(拒否事由)・第11条の2(管理者選任)は頻出です。章末の確認問題を解き、正答率が低い条文は再度テキストを読み直します。
よくあるつまずき(一般的には):旅行業法に「業務独占」の規定は存在しません。管理者選任義務の名宛人は旅行業者等(事業者)であり(法第11条の2第1項)、無資格者個人を処罰する規定はありません。「第1種は総合管理者のみ選任できる」は誤りで、選任基準は登録種別ではなく営業所が取り扱う旅行の範囲(法第11条の2第6項の3区分)で決まります。旅行業法の行政庁は観光庁長官であり、旅行業法の現行条文に「国土交通大臣」は存在しません。
第3・4週(7月後半) — 過去問で理解を確認し弱点を補強
通信講座付属の問題集で旅行業法令を1周し、誤答した箇所を中心に再インプットします。登録拒否事由・管理者選任の3区分・保証金の金額は毎年出題される核心論点です。7月中に法令科目の問題演習正答率80%以上を目指します。
- 旅行業の定義(法第2条)を自分の言葉で説明できる
- 登録拒否事由(法第6条)の11要件をすべて列挙できる
- 管理者選任基準の3区分(法第11条の2第6項)を正確に理解している
- 営業保証金と弁済業務保証金分担金の違いと計算の根拠(営業保証金の5分の1)を説明できる
- 旅行業法の行政庁が観光庁長官であることを確認した
フェーズ2(8月) — 旅行業約款を攻略して得点源にする
約款科目の特性 — 免除なし・全区分必須の科目
旅行業約款(旅行業約款・運送約款・宿泊約款)は国内・総合・地域限定のどの区分でも免除されない唯一の科目です(施行規則第12条)。条文の意味・適用条件を正確に理解した上で選択肢の正誤を判断する問題が中心です。曖昧な理解では得点が安定しにくいため、約款の条文をベースに丁寧に学ぶことが重要です。
3つの約款を効率よく学ぶ優先順序
| 約款 | 学習の重点 | よく出るポイント |
|---|---|---|
| 標準旅行業約款 | 取消料の日数・計算比率、変更補償金の対象事由 | 取消・変更・特別補償の数字と条件 |
| 運送約款(鉄道・航空) | 手荷物規定、遅延・欠航時の取り扱い | 旅客の権利、超過手荷物料金 |
| 標準宿泊約款 | 宿泊拒否事由、取消料の発生タイミング | 宿泊者の義務、料金の種類と算定方法 |
標準旅行業約款(募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の各契約)から学び始め、次に運送約款(国内鉄道・国内航空)、最後に標準宿泊約款の順に進むと、試験でのウェイトが高い部分から知識を積み上げられます。標準旅行業約款は取消料の計算日数・変更補償金の支払い条件など具体的な数字が問われる論点が多いため、表に整理して覚えると効果的です。
8月中に模擬試験を取り入れる
約款科目は「文章を読んで正誤判断する」形式の問題が多く、問題を解く量が得点力に直結します。8月下旬に通信講座の模擬試験(または問題集の仕上げ問題)を1回分解き、得点率が低い分野を洗い出します。9月に入る前に約款の弱点を補強しておくことで、フェーズ3の国内旅行実務学習に専念できます。模擬試験の正答率と解説の照合で誤答パターンを整理する作業が最終仕上げの精度を上げます。
フェーズ3(9月前半) — 国内旅行実務で総仕上げ
国内旅行実務の3本柱と学習のポイント
国内旅行実務の主要な出題分野はJR運賃計算・国内地理・国内宿泊料金計算の3分野です。計算問題またはデータの記憶を要する出題が含まれるため、インプットとアウトプットを繰り返す練習が欠かせません。
| 分野 | 出題の特徴 | 学習のポイント |
|---|---|---|
| JR運賃計算 | 乗車券・特急料金・グリーン料金の計算 | 手順を覚えてから問題を繰り返し解く。乗車券と特急券は別計算 |
| 国内地理 | 都道府県別の観光地・温泉地・世界遺産 | 地図と観光地名を結びつけながら覚える。地方ごとに整理する |
| 国内宿泊料金 | 消費税・サービス料込みの料金計算 | 計算パターンを繰り返し練習して処理を自動化する |
計算問題の攻略テクニック
JR運賃計算では乗車券の計算と特急券・グリーン券の計算を混同するミスが一般的につまずきとして多く見られます。それぞれの計算手順を別々に覚え、通信講座付属の計算問題集で同じ問題を繰り返し解いて手順を定着させます。CBT方式ではメモ用紙が用意されているため、問題文の数値を書き出してから計算する習慣をつけることが本番でのミス防止に有効です。
国内地理は単純な記憶が中心ですが、隣り合う都道府県の観光地を混同するつまずきが一般的に報告されています。地図帳を参照しながら位置と名称を結びつけて覚えると記憶の定着が高まります。世界遺産は国内26件を一覧でまとめて優先的に押さえてください(国内旅行実務で頻出です)。
CBT受験直前(1週間前)の最終チェックリスト
- テストセンターの場所・アクセス方法を確認した
- 当日必要な身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード等)を用意した
- 3科目を通した模擬試験を1回以上解いて全体の得点感覚をつかんだ
- 苦手論点のまとめノートを見直した
- 試験開始時刻の30分前には会場近くに到着できるよう交通手段を確認した
通信講座の教材を最大限に活かす学習法
テキストの読み込み方
通信講座のテキストは「全体像の把握→各条文・各条項の読み込み→確認問題」の3ステップで章ごとに進めます。旅行業法令は条番号を意識しながら読むと、選択肢の正誤を検討する際に根拠を素早く探せます。一通り読み終えたら問題集に移行し、わからなかった箇所だけテキストに戻る往復学習が効率的です。付箋や線引きで「何度も間違える箇所」を視覚的に把握するとヤマを張る精度が上がります。
問題集・過去問の使い方
問題集はテキストの章を読んだ直後に解くことで記憶の定着が高まります。間違えた問題は「なぜ間違えたか」の原因を書き留め、同じミスを繰り返さないよう仕上げます。過去問は直近3年分を2周以上解くことで出題パターンに慣れ、本番での読み間違いや見落としを減らせます。模擬試験はできれば受験3週間前までに1回、1週間前にもう1回解くと実力の把握と最終仕上げに役立ちます。
添削・質問サービスの活用法
疑問が生じたらその日のうちに通信講座の質問サービスへ送ることがポイントです。疑問を放置すると類似問題で繰り返しミスをします。条文の解釈・約款の適用条件・計算手順など独学では解決しにくい論点を積極的に質問サービスで解消することが通信講座ならではの強みです。また、添削課題の採点結果は弱点の発見に使えるため、点数だけでなく講師のコメントを必ず読んでください。
よくあるつまずきと対策
旅行業法令でよくある誤解と対策
旅行業法令では次のような誤解が一般的につまずきとして多く見られます。対策と合わせて確認しておきましょう。
- 「旅行業務取扱管理者は業務独占資格」という思い込み — 旅行業法に業務独占の規定は存在しません。選任義務は旅行業者等(事業者)に課されており(法第11条の2第1項)、無資格者個人を処罰する規定はありません。
- 「管理者選任基準は登録種別で決まる」という誤解 — 基準は営業所が取り扱う旅行の範囲(法第11条の2第6項の3区分)で決まります。登録種別と一対一に対応しているわけではありません。
- 「行政庁は国土交通大臣」という誤記 — 旅行業法の行政庁は観光庁長官です。旅行業法の現行条文に「国土交通大臣」は存在しません。
- 科目免除を自動適用と思い込む — 免除は申請制です。申請しなければ全科目受験になります(施行規則第13条第2項)。
約款・国内旅行実務で失点しやすいポイント
約款科目と国内旅行実務では次のポイントで失点しやすいことが一般的に報告されています。
- 約款科目に免除はない — 国内・総合・地域限定のどの区分でも約款科目は免除されません。「約款は免除できる」という思い込みは試験直前まで持ち込まないようにしてください。
- JR運賃計算で乗車券と特急券を混同するミス — 両者の計算手順は別々に覚え、問題演習で定着させます。
- 国内地理で都道府県境をまたぐ観光地の所属先を間違える — 地図と一緒に確認しながら暗記することで混同を防げます。
- 宿泊料金計算で消費税の計算タイミングを誤る — 課税前か課税後かによって答えが変わるため、計算問題の手順を習得するまで繰り返し練習します。
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国内試験の直近過去問を収録した問題集です。CBT受験の直前期に3科目まとめて仕上げる際の実戦演習に役立ちます。フェーズ3の総復習に活用できます。

よくある質問(FAQ)
- Q. 国内旅行業務取扱管理者試験に受験資格はありますか?
- 学歴・年齢・実務経験等の受験資格はなく、だれでも受験できます。
- Q. 令和9年度(2027年度)の申込はいつ始まりますか?
- 令和8年度(2026年)の実績では申込受付が6月下旬に始まりました。令和9年度の具体的な日程は2026年10月時点では未公表です。全国旅行業協会(ANTA)の受験案内サイトを定期的に確認してください。
- Q. 約款科目は特定の資格を持っていれば免除されますか?
- 旅行業約款・運送約款・宿泊約款の3約款をカバーする約款科目は、国内・総合・地域限定のどの区分においても免除されません(施行規則第12条)。どの合格・資格を持っていても必ず受験が必要です。
- Q. 通信講座を選ぶ際の注意点は何ですか?
- 最新年度対応のテキスト・問題集が含まれているか、質問サービスの対応速度や回数制限はどうか、教育訓練給付金の対象講座かどうかを確認することが重要です。国内試験に特化したコースを提供している場合は、総合試験との共通コースより学習範囲が整理されており短期合格に向いています。
- Q. 科目合格の持ち越しはどのように使えますか?
- 国内試験で1科目または2科目に合格した場合、翌年度の国内試験に限り合格済み科目の免除申請ができます(施行規則第20条第3号・第4号)。ただし免除申請は自動ではなく、受験申込時に科目合格証書番号等の登録と書類提出が必要です(施行規則第13条第2項)。申請しなければ全科目受験になります。
- Q. CBT方式はマークシートと何が違いますか?
- CBT方式はPCの画面で問題を読み、マウスや画面タッチで選択肢を選ぶ試験形式です。紙のマークシートを使わず、全国のテストセンターで受験期間中の好きな日時に予約して受験できます。国内試験はCBT方式のため、試験会場は一か所ではなく全国47都道府県に設置されています。

