旅行業務取扱管理者の定期研修義務完全解説【2026年最新】法第11条の2第7項・2018年改正と旅行業協会の研修制度を徹底ガイド

旅行業務取扱管理者として営業所に選任されたあとも、旅行業者等(事業者)には「定期的な研修を受けさせなければならない」という法的義務が課されます(旅行業法第11条の2第7項)。この規定は2018年(平成30年)1月4日施行の改正で新たに追加されたもので、管理者の知識・能力を継続的に担保するための制度です。本記事では、定期研修義務の法的根拠・対象者・研修機関・違反時のリスク・試験対策への活用法を体系的に解説します。

旅行業務取扱管理者の定期研修義務完全解説【2026年最新】法第11条の2第7項・2018年改正と旅行業協会の研修制度を徹底ガイド - 解説

目次

定期研修義務とは何か―旅行業法第11条の2第7項の概要

旅行業法第11条の2第7項の規定内容

旅行業法第11条の2第7項は、「旅行業者等は、その選任した旅行業務取扱管理者に、国土交通省令で定めるところにより、旅行業務取扱管理者としての職務を適切に行うため必要な知識及び能力に関する研修を定期的に受けさせなければならない」と定めています(2026年10月時点の現行条文)。研修の具体的な実施方法・内容・頻度は「国土交通省令で定める」とされており、旅行業法施行規則に委任されています。

条文の主語が「旅行業者等(事業者)」である点が重要です。研修を受ける義務の名宛人は選任された管理者本人ではなく、選任した事業者です。法的には、事業者が管理者に研修を受けさせる義務を負います。この構造は、旅行業法全体における「選任義務の名宛人は事業者である」という原則(法第11条の2第1項「旅行業者等は、営業所ごとに、一人以上の旅行業務取扱管理者を選任して…行わせなければならない」)と一貫しています。

また「定期的に」という文言は、一度受講すれば終わりではなく継続的に受講し続けることを求めています。旅行業務取扱管理者の資格(合格)自体に法令上の有効期限はなく更新手続きも不要ですが、選任中の管理者には定期的な研修受講が義務づけられています。

定期研修義務が追加された施行日と根拠法令

定期研修義務は、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」(平成29年法律第50号)によって旅行業法第11条の2に第7項として追加されました。この改正法は2018年(平成30年)1月4日に施行されました(2026年9月時点の確定事実・e-Gov法令APIで実測確認済み)。同改正では、旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録制度(法第2条第6項)・地域限定旅行業務取扱管理者試験の創設(法第11条の3第2項)・管理者の近接営業所での兼務規定(法第11条の2第5項)・選任基準の3区分化(法第11条の2第6項第1号)なども同時に整備されました。

定期研修は、これらの制度整備と併せて「選任後の管理者のスキルを継続的に担保する仕組み」として加わりました。改正前の旅行業法でも旅行業協会による研修事業は存在していましたが(法第46条は改正前から存在)、管理者への定期受講義務の明文規定は設けられていませんでした。

定期研修義務と旅行業務取扱管理者の資格有効期限の関係

旅行業務取扱管理者の合格資格には、法令上の有効期限も更新手続きも設けられていません。資格は終身有効です。定期研修を受けなかったからといって合格が取り消される法的規定は存在しません。ただし、事業者が管理者に定期研修を受けさせない場合、旅行業法第11条の2第7項違反として観光庁長官または都道府県知事から業務改善命令(法第18条の3)の対象となるほか、重大な場合は業務停止命令・登録取消し(法第19条)というリスクが生じます。

2018年改正で定期研修が義務化された背景

改正前の旅行業法における研修の実態

2018年改正以前も、旅行業協会は法第46条に基づいて会員への研修を実施する機能を有していました。しかし、旅行業法上は管理者が研修を受けることへの義務規定が存在せず、各事業者・管理者の自主的な取り組みに委ねられていました。旅行業界では海外旅行実務・法令・約款の継続学習が重要ですが、管理者のスキルを維持・向上させる仕組みが制度上明確でなかったという側面があります。

一方、同時期にランドオペレーター(旅行サービス手配業者)の業務品質や消費者トラブルへの対応、訪日外国人旅行(インバウンド)の急増に伴う安全管理の強化など、旅行業界全体の人材要件が高まりつつありました。こうした背景が、2018年改正での研修義務化に至った要因の一つとされています。

通訳案内士法改正との同時立法と観光立国推進の観点

2018年改正は「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」(平成29年法律第50号)として成立した点が特徴です。通訳案内士法側では全国通訳案内士・地域通訳案内士の制度が整備され、旅行業法側ではランドオペレーター規制・地域限定管理者試験・定期研修義務化など複数の改正が一括して実施されました。観光立国推進の政策的観点から、旅行業全体の品質管理と人材育成を法的に担保する方向で立法されたといえます。

なお「2018年改正で地域限定旅行業が創設された」は誤りです。地域限定旅行業の登録区分は改正前から施行規則に存在していました(改正前は第1条の2)。改正で新たに追加されたのは「地域限定旅行業務取扱管理者試験」(試験区分の追加:法第11条の3第2項)です。試験ではこの区別が問われることがあるため、登録区分(旅行業)と試験の区分(管理者試験)を混同しないよう注意してください。

旅行サービス手配業の創設と人材育成枠組みの整備

2018年改正では、旅行業の登録を受けずに外国人旅行者向けに宿泊・運送等のサービスを手配するランドオペレーターを「旅行サービス手配業」として新たに登録制度の対象に加えました(法第2条第6項)。ランドオペレーター規制と同時に旅行業本体の管理者についても研修義務を明確化することで、旅行業界全体の人材育成の基盤が整備されました。試験学習では2018年改正で追加された制度を「旅行サービス手配業の創設/地域限定管理者試験の創設/近接営業所での兼務規定/選任基準の3区分化/定期研修の義務化」の5点としてまとめて整理しておくと効率的です。

定期研修を実施する旅行業協会の役割(旅行業法第46条)

旅行業法第46条と旅行業協会の研修機能

旅行業協会(JATAおよびANTAなど)は、旅行業法第46条に基づいて旅行業者等またはその役職員に対する研修を業務の一つとして実施することができます。法第46条は、観光庁長官が指定した旅行業協会(法第41条第1項)の業務として研修の実施を明記しており、この規定を根拠に各協会が管理者向け研修を提供しています。旅行業協会の指定は観光庁長官が行います(法第41条第1項)。

旅行業法第46条が定める旅行業協会の業務には、研修のほかに苦情処理(法第45条)・弁済業務(法第49条以下)・協会への監督(法第59条)等があります。試験ではこれら協会の業務を列挙する問題が出ることがあり、「研修は法第46条」という対応関係を覚えておくと得点に繋がります。

JATAとANTAそれぞれの研修制度

日本旅行業協会(JATA)は主に総合旅行業務取扱管理者試験を運営する旅行業協会であり、会員を対象とした管理者向け研修を定期的に提供しています。全国旅行業協会(ANTA)は国内旅行業務取扱管理者試験を運営しており、同様に研修事業を手がけています。研修の具体的な内容・日程・費用・開催形式(集合研修・オンライン等)については年度によって異なる場合があるため、各協会の公式サイトにて最新の案内をご確認ください(JATA公式:https://www.jata-net.or.jp/ANTA公式:https://www.anta.or.jp)。

旅行業協会への加入は旅行業者に義務づけられておらず、非加入の事業者も存在します。旅行業協会に加入している事業者は弁済業務保証金分担金を納付することで、法令上の営業保証金の代替措置をとることができます(法第22条の2)。非加入の事業者でも定期研修義務(法第11条の2第7項)は課されますが、協会の会員向け研修を利用できないケースがあります。その場合は観光庁や都道府県の担当窓口に確認してください。

試験科目免除研修(法第11条の3第3項)との区別

旅行業協会が実施する研修には、旅行業者等の従業者のみが受講できる種別があります(法第11条の3第3項)。この研修を修了することで、旅行業務取扱管理者試験の国内旅行実務・海外旅行実務科目の免除が受けられる場合があります。ただしこれは「試験を受験せずに実務科目を免除する」特例であり、一般の受験者(旅行業者等の従業者でない人)は受講対象外です。定期研修(法第11条の2第7項)と試験免除研修(法第11条の3第3項)は、根拠条文・目的・対象者がすべて異なる別の制度である点を混同しないようにしてください。

定期研修の対象者と義務の構造

義務の名宛人は「旅行業者等(事業者)」

定期研修義務の名宛人は、前述のとおり旅行業者等(事業者)です。「旅行業者等は、…研修を定期的に受けさせなければならない」という条文構造がこれを示しています。旅行業法において「旅行業者等」とは、旅行業者(各登録区分)および旅行業者代理業者を含みます(法第2条第2項・第3項)。法第11条の2第1項の義務主体と同様、法第11条の2第7項でも事業者に責任が課される設計です。

旅行業務取扱管理者の資格(合格証書)それ自体への義務は発生しません。試験に合格した個人が「自ら進んで研修を受けなければ法令違反になる」という規定は旅行業法に存在しません。ただし、選任を受けた管理者が事業者の義務に基づいて研修を受講することになるため、実務上は選任された管理者が出席・受講する形になります。

選任中の管理者が実際の受講対象となる仕組み

実際に研修を受講するのは、選任された旅行業務取扱管理者本人です。複数の営業所に管理者が複数名いる場合は、それぞれの管理者が受講対象となります。転職等で別の事業者に移籍した場合は、移籍先の事業者が新たに選任した管理者として、移籍先での義務のもとで定期研修に参加することになります。同一管理者が近接営業所を兼務している場合(法第11条の2第5項)も、兼務中は1名の管理者として取り扱われますが、定期研修の受講義務は変わりません。

義務違反時の行政上の効果と法的リスク

事業者が定期研修義務(法第11条の2第7項)に違反した場合、観光庁長官または都道府県知事は業務改善命令(法第18条の3)を発令できます。さらに重大な違反が継続すれば、業務停止命令・登録取消し(法第19条)の対象となります。旅行業の登録取消しは事業者への影響が甚大であるため、定期研修への参加手配は重要なコンプライアンス事項です。試験では「定期研修義務違反に課される行政処分」として業務改善命令・業務停止・登録取消しの流れを把握しておくことが有益です。

旅行業の研修制度一覧―定期研修・旅程管理研修・協会研修の比較

4種類の研修制度の比較表

研修の種類 根拠条文 受講対象 義務・任意の別 目的・概要
旅行業務取扱管理者の定期研修 法第11条の2第7項 選任中の旅行業務取扱管理者 事業者に義務(2018年改正追加) 管理者の知識・能力の継続的維持・向上
旅程管理研修(旅程管理主任者) 法第12条の11第1項 旅程管理研修を修了し実務経験を有する者 資格取得のための要件(任意受講) ツアーコンダクターとして旅程を管理する資格の取得
旅行業協会の研修(試験科目免除) 法第11条の3第3項・第69条第1項 旅行業者等の従業者(一般受験者不可) 任意(修了で試験実務科目免除) 修了により旅行業務取扱管理者試験の実務科目免除を受けられる
旅行業協会の研修(一般・法第46条) 法第46条 旅行業者等またはその役職員 任意 旅行業実務の知識・スキルの継続的向上

各研修制度の法的性格の違い

上表のとおり、「旅行業務取扱管理者の定期研修(法第11条の2第7項)」は事業者への義務規定であり、他の研修制度とは法的性格が根本的に異なります。旅程管理研修は添乗員(旅程管理主任者)の資格を取得するための要件であり、管理者の研修とは別個の制度です。試験では「旅行業法のどの条文に規定されているか」「義務の名宛人は誰か」「いつの改正で追加されたか」という形で問われることがあるため、条番号と制度の対応関係を整理しておくことが重要です。

試験では「どの制度に該当するか」の識別が問われる

旅行業務取扱管理者試験の法令科目では、複数の研修制度を混同させる選択肢が出題されることがあります。「旅行業協会が実施する研修を修了すると試験の科目が免除される」という記述は、受講対象が「旅行業者等の従業者」に限定される点(一般受験者は不可)を見落とすと正誤の判断を誤ります。また「定期研修を受けなければ管理者の資格が失効する」という記述は誤りです。条文の規律対象(事業者か管理者本人か)を常に意識しながら問題に当たってください。

定期研修制度と旅行業務取扱管理者試験への出題

法令科目への出題可能性と学習ポイント

旅行業務取扱管理者試験の法令科目(「法及びこれに基づく命令」)では、法第11条の2第7項の定期研修義務が出題されることがあります。出題パターンとしては、①定期研修義務の根拠条文(第11条の2第7項)、②義務の名宛人が事業者である点、③2018年改正で追加された制度の一覧としての出題などが想定されます。法第11条の2の各項の内容を対応させて覚えると、関連問題に対応しやすくなります。

  • 第1項:旅行業者等による管理者の選任義務(基本規定)
  • 第2項:管理者が選任されていない場合の契約締結禁止
  • 第5項:近接営業所での管理者兼務に関する規定(2018年改正追加)
  • 第6項:選任基準の3区分(取り扱う旅行の範囲で判断・2018年改正で整備)
  • 第7項:定期研修の義務化(2018年改正追加)

2018年改正で追加された制度の整理と暗記法

2018年改正(平成29年法律第50号・2018年1月4日施行)で追加・整備された主な事項を正確に把握しておくことが、試験対策上有効です。以下に確定事実として整理します(2026年9月時点・e-Gov法令APIで実測確認済み)。

改正で追加された主要制度は次のとおりです。旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録制度の創設(法第2条第6項ほか)、地域限定旅行業務取扱管理者試験の創設(法第11条の3第2項)、登録拒否事由への暴力団員等の追加(法第6条第1項第3号・第8号)、管理者の近接営業所での兼務に関する規定(法第11条の2第5項)、選任基準の3区分化(法第11条の2第6項第1号)、定期研修の義務化(法第11条の2第7項)の6点です。法第11条の2に追加された第5項・第6項・第7項はまとめて「2018年改正の新設項」として覚えると整理しやすくなります。

条番号の覚え方と試験直前チェックポイント

法第11条の2は「旅行業務取扱管理者の選任・職務」に関する条文であり、第1項から第7項にわたって規定が整備されています。第7項(定期研修)が最後に加わった2018年改正条項であることも覚えておくと、「いつ追加されたか」を問う問題に対応できます。また、定期研修の具体的な方法・頻度は施行規則に委任されているため、法令科目では「国土交通省令で定める(施行規則に委任)」という構造を押さえておいてください。研修義務違反は「法第11条の2第7項違反」として業務改善命令(法第18条の3)の対象となることも覚えておきましょう。

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旅行業務取扱管理者の定期研修義務完全解説【2026年最新】法第11条の2第7項・2018年改正と旅行業協会の研修制度を徹底ガイド - まとめ

よくある質問(FAQ)

定期研修の受講は法律で義務づけられていますか?

はい、旅行業法第11条の2第7項で義務づけられています。ただし、義務の名宛人は「選任した旅行業者等(事業者)」です。事業者は選任している管理者に対して定期的に研修を受けさせなければなりません。選任された管理者本人への直接の法的義務ではなく、事業者に受講させる義務が課される構造です。

旅行業務取扱管理者の資格に有効期限はありますか?

旅行業務取扱管理者の合格資格には法令上の有効期限も更新手続きも存在しません。合格は終身有効です。ただし、営業所に選任されている期間中は、事業者の義務として定期的な研修受講が求められます。定期研修の有無が資格の有効性に直接影響することはありません。

定期研修を受けないと資格が失効しますか?

合格資格が失効することはありません。ただし、事業者が定期研修義務(法第11条の2第7項)を履行しない場合、当該事業者が業務改善命令(法第18条の3)や業務停止・登録取消し(法第19条)といった行政処分の対象となるリスクがあります。資格失効ではなく事業者への行政処分という形で制裁が及ぶ点に注意してください。

JATAとANTAのどちらの研修を受ければよいですか?

取得している資格区分および所属する旅行業者等の協会加入状況によって異なります。総合旅行業務取扱管理者として選任されている場合はJATA(日本旅行業協会)の研修が、国内旅行業務取扱管理者として選任されている場合はANTA(全国旅行業協会)の研修が一般的な窓口です。所属事業者の協会加入状況を確認のうえ、各協会の公式サイトで最新の案内を参照してください。

定期研修の根拠条文は試験に出ますか?

旅行業務取扱管理者試験の法令科目では、法第11条の2の各項が出題対象です。特に2018年改正で追加された第5項・第6項・第7項は、改正事項を問う問題で出題される可能性があります。「定期研修は法第11条の2第7項/2018年改正で追加/義務の名宛人は事業者」の3点をセットで覚えておくことを推奨します。

旅行業協会の試験科目免除研修と定期研修は同じものですか?

別の制度です。試験科目免除研修は法第11条の3第3項・法第69条第1項を根拠とし、旅行業者等の従業者が受講することで試験の実務科目免除を受けられるものです。定期研修は法第11条の2第7項を根拠とし、すでに選任されている管理者の知識・能力を継続的に維持するために事業者が受けさせる義務があるものです。根拠条文・目的・対象者がすべて異なります。

地域限定旅行業務取扱管理者として選任されている場合も定期研修は必要ですか?

旅行業法第11条の2第7項には区分(総合・国内・地域限定)の限定がなく、地域限定旅行業務取扱管理者として選任されている場合も同様に事業者に定期研修受講義務が生じます。具体的な研修の窓口は観光庁の旅行業務取扱管理者に関するページや都道府県の担当窓口にお問い合わせください。

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