旅行業界への就職・転職を考えているとき「実際の残業時間は?」「年間休日は何日?」「テレワークはできる?」という疑問を持つ方は多くいます。旅行業界は「旅好きが仕事にできる業界」として人気がありますが、繁忙期の働き方や離職率については正確に把握しておく必要があります。本記事では旅行業界の労働環境のリアルを2026年の最新情報をもとに体系的に解説し、旅行会社への就職・転職を検討している方が入社前に知っておくべきポイントをまとめます。
旅行業界の労働環境の全体像
旅行業界のポジティブな面とネガティブな面
旅行業界の労働環境は業態(大手旅行会社・中小旅行会社・OTA・インバウンド系)と職種(カウンターセールス・企画・法人営業・添乗)によって大きく異なります。ポジティブな面としては「旅行に関わる実務知識が身につく」「旅行業務取扱管理者などの国家資格取得支援が充実している会社も多い」「旅行割引制度(ファムトリップ・社員旅行割引)が利用できる」などが挙げられます。一方、繁忙期の過重労働・年間休日の少なさ・GW/お盆/年末年始の休日取得困難などネガティブな側面も存在します。就職・転職前にこれらの実態を正確に把握することが、ミスマッチを防ぐ最大のポイントです。
| 側面 | 内容 |
|---|---|
| ポジティブ | 旅行実務知識の習得・資格取得支援・旅行割引制度・専門スキルの価値 |
| ネガティブ | 繁忙期の残業増加・年末年始・GWの休日取得困難・離職率の高さ |
| 業態差 | 大手は制度整備・中小は柔軟性あり・OTAはリモートワーク多め |
旅行業界が「きつい」と言われる理由
旅行業界が「きつい」と言われる背景には、旅行のシーズナリティ(繁閑の差)があります。旅行需要が集中するGW・お盆・年末年始が旅行会社にとっては最大の繁忙期であり、この時期のカウンタースタッフや添乗員は長時間労働になりやすい傾向があります。また、パッケージツアーのキャンセル・クレーム対応などが繁忙期に集中するため、精神的な負荷も高まります。ただし2019年以降の働き方改革・デジタル化の進展・コロナ禍を経た業界体質の変化により、大手を中心に労働環境の改善が進んでいる点も重要なポイントです。
残業時間・繁忙期の実態
旅行業界の平均残業時間
厚生労働省の賃金構造基本統計調査や各社の有価証券報告書をもとにすると、旅行業界の月平均残業時間は閑散期と繁忙期で大きく異なります。カウンター・セールス職は繁忙期と閑散期の差が最も顕著で、年間平均では月15~25時間程度とされています。添乗員(旅程管理主任者)は出発前準備・添乗中の実働時間が長く、ツアー期間中は事実上の拘束時間が延びる構造があります。
| 職種・業態 | 閑散期の月残業目安 | 繁忙期(GW・お盆等)の月残業目安 |
|---|---|---|
| カウンタースタッフ(大手) | 5~15時間 | 20~40時間 |
| カウンタースタッフ(中小) | 10~20時間 | 25~50時間 |
| 企画・法人営業 | 10~20時間 | 20~40時間 |
| 添乗員(ツアーコンダクター) | ツアー実施による(月40時間超も) | ツアー期間中は日常外となることも |
| OTA・IT系旅行サービス | 5~15時間 | 15~30時間 |
繁忙期の働き方のリアル
旅行業界の繁忙期は4月下旬~5月上旬(GW)・7月中旬~8月下旬(夏休み)・12月下旬~1月上旬(年末年始)の3つが主なピークです。このうち年末年始は旅行需要が最も高まる時期であり、旅行会社では全員出勤・休日返上が常態化している企業もあります。大手旅行会社では代休・特別手当による補填が制度化されているケースが多い一方、中小では補填が不十分なケースも見受けられます。就職・転職の際はオフシーズンの残業と繁忙期の残業・代休の取り方を必ず確認することが重要です。
年間休日・休暇取得の実態
旅行業界の年間休日数
旅行業界の年間休日数は業態と企業規模によって異なりますが、全国平均(約120日)と比較するとやや少ない傾向があります。大手旅行会社ではシフト制と固定休日を組み合わせて年間休日105~115日程度を確保している企業が多く、中小旅行会社では90~110日程度の企業が多くみられます。なお、カレンダーの土日祝日に休めないシフト勤務が基本となるため、年間休日の日数だけでなく「いつ休めるか」も重要な確認ポイントです。
| 業態 | 年間休日の目安 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 大手旅行会社(JTB・HIS等) | 105~118日 | シフト制・代休制度あり |
| 中小旅行会社 | 95~110日 | 土日出勤あり・代休補填にばらつき |
| OTA・インターネット系 | 110~125日 | カレンダー休日に近い企業も増加 |
| 添乗員(専任ツアコン) | ツアー日程依存・年換算で90~100日程度 | 拘束日数が多いため注意 |
有給休暇の取得実態
旅行業界の有給休暇取得率は全産業平均(60%前後)と比較すると低い傾向にあり、繁忙期の有給取得が実質的に難しいケースもあります。大手旅行会社では有給取得率60%以上を目標としている企業が増えており、システムによる管理・計画年休制度の導入も進んでいます。中小旅行会社では繁忙期の有給申請が事実上困難なケースもあるため、求人票の「有給取得率」だけでなく実態を面接で確認することが有効です。
旅行業界のテレワーク・リモートワーク事情
旅行業界でテレワークができる職種・できない職種
旅行業界のテレワーク対応状況は職種によって大きく異なります。カウンター業務(店頭での旅行相談・予約受付)は来店客への対応が前提のため、完全テレワーク化は構造上困難です。一方、企画・マーケティング・IT・法人営業・バックオフィス業務はテレワーク対応が進んでいる企業が増えており、大手旅行会社やOTAを中心に週2~3日のハイブリッド勤務を認めている企業もあります。
| 職種 | テレワーク対応の現状 |
|---|---|
| カウンタースタッフ・店頭セールス | 困難(対面対応が必須) |
| 法人営業・ビジネストラベル | 一部可能(訪問外業務はテレワーク化が進む) |
| 旅行企画・商品開発 | ハイブリッド対応増加(週2~3日テレワーク) |
| マーケティング・IT・バックオフィス | 比較的対応しやすい(OTAでは常態化も) |
| 添乗員 | 基本的に不可(ツアー同行が必須) |
OTA・IT系旅行サービスのテレワーク事情
楽天トラベル・じゃらん・Expedia・Trip.comなどのOTAや、航空会社のeコマース部門・旅行保険のオンライン事業部門ではテレワーク導入率が高く、フルリモートを認める企業もあります。旅行業界でテレワーク勤務を優先したい場合は、カウンター型旅行会社よりOTA・旅行IT系企業を検討することが有効です。ただしOTAの旅行実務部門(問い合わせ対応・クレーム処理・手配業務)はカウンター型と同様に出社が基本の企業が多い点に注意が必要です。
旅行業界の離職率と定着のポイント
旅行業界の離職率の実態
厚生労働省の雇用動向調査によると、宿泊業・飲食サービス業と並び旅行・観光関連業種の離職率は全産業平均(約15%)を上回る傾向があります。旅行会社のカウンター職を中心に3年以内離職率が30~40%程度になるケースもあります。主な離職理由としては「繁忙期の長時間労働」「年収の低さ・賃金上昇の遅さ」「顧客クレーム対応の精神的負担」「土日・祝日に休みにくい」などが挙げられています。
旅行業界で長く働き続けている人の特徴
一方で旅行業界には長期勤続者も多く、「旅行が好きで仕事自体にやりがいを感じている」「旅行業務取扱管理者などの資格を取得して専門職として認められている」「選任管理者・店長クラスに昇格して責任とやりがいが増した」という層は定着率が高い傾向があります。旅行業務取扱管理者の資格取得は専門性の証明となり、資格手当・選任手当の付与・管理職昇格につながることから、離職率を下げる要因として機能しています。
旅行業務取扱管理者資格と働き方の関係
資格取得が労働環境に与えるプラス効果
旅行業務取扱管理者(国内または総合)の資格を取得すると、業務上の裁量と評価が高まり、働き方の選択肢が広がる傾向があります。具体的には以下のようなプラス効果が期待できます。
| プラス効果 | 内容 |
|---|---|
| 資格手当の付与 | 月額3,000円~1万5,000円程度が多い |
| 選任管理者就任による裁量拡大 | 営業所の法的責任者として専門職ポジションへ |
| 管理職・昇格への近道 | 係長・課長・店長への昇格基準として実質必須の企業多数 |
| 転職での評価向上 | 有資格者は採用時に優遇・給与テーブル優遇の企業あり |
| 副業・個人業務への活用 | 旅行サービス手配業の登録・観光ガイドとしての個人業務に有利 |
選任管理者になることで変わる働き方
旅行業務取扱管理者として選任されると、一般スタッフとは異なる「管理者としての立場」で旅行業法上の業務を担います。選任管理者には料金掲示の確認・書面交付の監督・苦情処理の統括・外務員管理などの職責が生じますが、それと引き換えに会社からの法的責任者としての信頼・裁量・処遇改善が伴います。繁忙期でも「管理者として場を仕切る立場」になることで、単なるカウンタースタッフ時代より精神的な余裕が生まれると語る選任管理者も多くいます。
旅行会社を選ぶ際の労働環境チェックリスト
就職・転職前に必ず確認すべき項目
旅行業界への就職・転職を検討する際、労働環境に関して以下の項目を求人票・会社説明会・面接で必ず確認することが重要です。特に「有給取得率の実態」「GW・年末年始の勤務体制と代休の実績」「残業代の支払い方式(固定残業代型か実働残業代型か)」は入社後にギャップが生じやすいポイントです。
| 確認項目 | 聞き方のポイント |
|---|---|
| 年間休日と実際の取得実態 | 「GW・お盆・年末年始の勤務体制と代休の取り方を教えてください」 |
| 月平均残業時間(繁忙期・閑散期別) | 「繁忙期の月残業時間の実態と閑散期の目安を教えてください」 |
| 有給取得率・計画年休制度 | 「昨年の有給消化率と、繁忙期に有給を取れる仕組みはありますか」 |
| 旅行業務取扱管理者資格の取得支援 | 「受験費用補助・社内勉強会・合格時の処遇変化はありますか」 |
| テレワーク・フレックスの有無 | 「職種別のテレワーク対応状況と在宅勤務の実績を教えてください」 |
| 離職率・平均勤続年数 | 「直近3年間の離職率と平均勤続年数を教えていただけますか」 |
旅行業界で長く働くために
旅行業界は繁忙期の過重労働・年末年始の休暇取得困難・離職率の高さという課題を抱える一方、旅行への情熱・専門知識の習得・旅行業務取扱管理者資格を活かしたキャリアアップという大きな魅力もある業界です。旅行業務取扱管理者(国内・総合)の資格を取得することは、待遇改善・昇格・転職時の評価向上すべてに直結する最もコストパフォーマンスの高い自己投資です。就職・転職前にしっかりと労働環境を調査・確認し、長期的なキャリアビジョンを持って入社することが旅行業界で長く活躍するための第一歩です。
旅行業務取扱管理者試験の詳しい試験制度・学習法・おすすめ通信講座については、旅行業務取扱管理者試験完全ガイドもあわせてご参照ください。
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