令和9年度(2027年度)の旅行業務取扱管理者試験合格を目指し、「1月から独学を始めて9月の国内試験に合格したい」と考えている方に向けて、6か月間の学習ロードマップを詳しく解説します。試験制度の基本情報から科目別の攻略法、よくあるつまずきの対処法まで、独学でゴールを目指す方の指針となる内容をまとめました。

この記事で分かること
- 国内旅行業務取扱管理者試験の制度と受験に必要な情報
- 1月スタートで6か月間の学習を月別に整理したロードマップ
- 旅行業法・約款・国内旅行実務、各科目の独学攻略法
- 独学でよく起きるつまずきと具体的な対処のヒント
- 通信講座への切り替えを検討すべきタイミングの目安
国内旅行業務取扱管理者試験の基本情報
試験制度の概要
国内旅行業務取扱管理者試験は、観光庁長官が実施する国家試験です(旅行業法第11条の3第1項)。観光庁長官は申請により全国旅行業協会(ANTA)に試験事務を行わせることができます(同法第69条第1項)。試験は3科目で構成されており、「旅行業法及びこれに基づく命令」「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」「国内旅行実務」のすべてに合格することが必要です。約款科目はどの区分でも科目免除の対象外であるため、3科目すべてを確実に仕上げる学習計画が合格への近道です。
令和8年度の受験手数料は8,000円(非課税)、システム利用料660円(税込)です。令和7年度の全科目受験者における合格率は34.1%でした(全国旅行業協会 令和7年度実施状況より)。令和9年度の試験日程・申込期間は全国旅行業協会の公式受験案内で必ずご確認ください。
国内試験はCBT方式で実施
国内旅行業務取扱管理者試験は、令和7年度よりCBT(コンピューター・ベースト・テスティング)方式に移行しています。全国47都道府県のテストセンターでPC操作による受験となるため、以前のマークシート方式とは受験環境が異なります。受験日時は申込後に指定された期間内から受験者が自分で選択できる仕組みです。令和8年度は9月3日(木)から9月25日(金)の期間で実施されました。CBT方式の操作に不安がある場合は、テストセンターが公開するサンプル画面などで事前に確認しておくとよいでしょう。
科目免除制度の活用
地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者は、国内試験の「旅行業法及びこれに基づく命令」が免除されます(施行規則第20条第2号)。また、前年度の国内試験で「国内旅行実務」のみに合格した場合、翌年度の同試験でその科目が免除されます(施行規則第20条第5号)。いずれの免除も、申請と資格を証する書類の添付が必要です(施行規則第13条第2項)。申請しなければ全科目受験となるため、該当する方は申込時に必ず手続きを行ってください。
6か月独学計画の全体像
6か月で合格を狙える理由
国内旅行業務取扱管理者試験の3科目は、それぞれ学習の性質が異なります。旅行業法は条文の理解と暗記が中心、約款は標準的な約款文書の構造把握、国内旅行実務はJR運賃計算・国内地理・宿泊料金など実務的な計算と地名暗記が求められます。いずれも体積の大きい学習領域ではなく、一定の計画性があれば6か月間の継続学習で十分に対応できる量です。一般的に合格者は数か月単位の準備期間を設けて試験に臨むケースが多いとされています。
ただし、独学では学習の進度確認や弱点把握に自己管理が求められます。毎月の学習目標を明確に設定し、過去問演習を中心に据えた反復練習が合格への鍵となります。令和7年度の全科目受験における合格率は34.1%(全国旅行業協会 令和7年度実施状況より)であり、適切な学習計画を立てれば独学でも十分到達できる水準です。
独学に必要な教材と費用の目安
独学では、テキスト・問題集・過去問の3種類を揃えることが基本です。市販の総合テキストは法律の基礎から実務まで網羅しているものを選ぶと、科目をまたいだ知識の整合性が取りやすくなります。費用の目安は教材費が数千円から1万円程度で、受験手数料(8,000円+システム利用料660円)を合わせた総費用は通信講座と比較して抑えられます。ただし、教材選びに迷う場合や学習が行き詰まった際のサポートは自分で解決する必要があります。
教材を選ぶ際は「国内試験に対応しているか」を必ず確認してください。総合試験のみ対応のテキストでは、海外旅行実務の内容が多く含まれる反面、国内試験で頻出のJR運賃計算や国内地理の解説が薄い場合があります。国内試験の受験者には国内試験専用または総合・国内兼用のテキストが適しています。
月別学習ロードマップ
1月・2月「旅行業法・基礎固め期」
最初の2か月は旅行業法を徹底的に読み込む時期です。法律の条文は難解に感じることもありますが、旅行業法は比較的コンパクトな法律であり、全体像を把握した後に重要条番号を反復することで定着します。学習の中心となる論点は、旅行業の定義(第2条)、登録制度(第3条・第6条)、営業保証金(第8条・施行規則第7条別表第一)、旅行業務取扱管理者の選任義務(第11条の2)、行政処分(第18条の3・第19条)などです。
選任義務については、旅行業者等(事業者)が営業所ごとに1人以上を選任して管理監督業務を行わせる義務であることを正確に理解してください(法第11条の2第1項)。試験では「どの営業所に何の資格が必要か」という選任基準(同第6項の3区分)も頻出です。
1月は法律の通読と全体構造の把握、2月は重要条番号の反復と問題演習に充てるとバランスよく進められます。
3月・4月「国内旅行実務・知識拡充期」
3月からは国内旅行実務に重点を移します。この科目はJR運賃・料金計算、国内旅行地理、宿泊料金・宿泊施設の3分野で構成され、暗記と計算の両方が求められます。JR運賃計算では、乗車券の区間設定・往復割引・学割・幹線・地方交通線の計算ルールを体系的に整理することが重要です。特急料金・グリーン料金など料金の種類と割引条件もあわせて押さえます。
国内地理は都道府県別に観光地・温泉・世界遺産・国立公園を整理する暗記作業が中心です。白地図を活用して位置と名称を結びつけながら覚える方法が一般的によく使われています。4月は国内地理の仕上げと宿泊分野(旅館業法の施設区分・標準宿泊約款の取消料・宿泊拒否事由)を学習します。
5月「約款・総合仕上げ期」
5月は約款科目に集中する月です。試験では旅行業約款・運送約款(JR・航空)・宿泊約款の3種類が出題されます。標準旅行業約款は国内取引に関係する条文が中心で、企画旅行契約・手配旅行契約の違い、取消料の計算、旅程保証・特別補償の要件などが頻出論点です。運送約款では旅客の権利・払戻手続き・責任制限の考え方を整理します。標準宿泊約款は第3条(取消料)・第4条(宿泊拒否事由)などを重点的に確認します。
5月後半からは、旅行業法・国内旅行実務・約款の3科目をまたいだ模擬試験形式の演習を始め、時間配分と弱点科目の最終確認を行います。
6月「直前期・総復習」
試験前月(令和9年度試験の場合、申込・受験時期は全国旅行業協会の公式案内を参照)は過去問の反復と間違えた問題への集中投下に専念します。過去問は直近の出題傾向を把握するうえで最も効果的なツールです。過去に間違えた問題だけをまとめた「間違いノート」を活用し、試験直前まで繰り返し確認します。CBT試験の場合、特定の試験日に縛られず期間内で日程を選べるため、準備が整ったタイミングを選んで受験できます。
| 月 | 学習の重点 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1月 | 旅行業法・通読と全体把握 | 条文読み込み・重要条番号の整理 |
| 2月 | 旅行業法・反復演習 | 問題集・頻出論点の絞り込み |
| 3月 | 国内旅行実務・JR運賃計算 | 運賃・料金ルールの体系整理・計算練習 |
| 4月 | 国内旅行実務・地理と宿泊 | 白地図活用・宿泊約款の基礎学習 |
| 5月 | 約款3種・総合仕上げ | 旅行業約款・運送約款・宿泊約款の精読、模擬演習開始 |
| 6月 | 直前期・総復習 | 過去問反復・間違いノート確認・本番日程の最終確認 |
科目別攻略法
旅行業法・施行規則を攻略するポイント
旅行業法の試験では、条番号と内容を結びつけて正確に答える力が求められます。学習の際に「観光庁長官の権限」「都道府県知事の権限」「旅行業協会の役割」を混同しないよう整理することが重要です。登録の権限は観光庁長官(法第3条)ですが、第2種・第3種・地域限定旅行業等の事務は主たる営業所の所在地の都道府県知事が行います(法第67条・施行令第5条第1項)。また、旅行業協会(JATA・ANTA)は観光庁長官の申請を受けた旅行業協会に試験事務が委任されたものであり、「指定試験機関」という制度は旅行業法には存在しません(法第69条第1項)。
数値を伴う項目は特に正確さが要求されます。営業保証金の額は別表第一に取引額ごとに定められており(施行規則第7条)、「第2種は1,100万円(取引額400万円未満の最低額)」のように取引額の条件とセットで覚えてください。基準資産額と営業保証金を混同しないよう注意が必要です。
旅行業約款・運送約款・宿泊約款の攻略
約款科目はどの試験区分でも免除されない唯一の科目であり、3つの約款の基本構造を正確に把握することが大前提です。標準旅行業約款では、募集型企画旅行契約・受注型企画旅行契約・手配旅行契約の区別、旅行代金の変更ルール(増額・減額の要件)、取消料の計算(旅行開始前・開始後の時点ごと)、旅程保証・特別補償の発動要件が頻出です。
JR旅客営業規則(運送約款に相当)では乗車変更・払戻の手続きと手数料が問われます。標準宿泊約款では取消料の段階(宿泊日の前日・当日・無連絡不泊)と宿泊拒否事由を正確に覚えることが得点につながります。
国内旅行実務の攻略
国内旅行実務はJR運賃計算、国内旅行地理、国内宿泊の3分野に分かれます。JR運賃計算は計算問題が出題されるため、運賃表の見方・区間設定のルール・割引計算の手順を反復練習することが不可欠です。往復割引(601km以上で往復とも1割引)・学割(100km超で2割引)などの割引条件は試験でもよく問われます。
国内地理は出題範囲が広いため、都道府県別に整理してから地方ごとにまとめる「ツリー型暗記」が一般的によく用いられています。温泉地・世界遺産・国立公園は特に出題頻度が高く、優先して押さえるとよいでしょう。
独学でよくあるつまずきと対処のヒント
旅行業法の条文が難しく感じる場合
旅行業法は法律特有の硬い表現が多く、初読では内容が把握しにくいと感じることがあります。一般的によくあるつまずきとして、条文を逐語的に読もうとすることで全体像が見えなくなるケースがあります。学習初期は条文を一語一句覚えるより、「誰が・何をする義務があるか・違反するとどうなるか」の3点を各条番号とセットで把握することを優先すると、理解の速度が上がりやすくなります。問題集の解説文を先に読み、条文はあとから確認するアプローチも有効です。
国内地理の暗記が進まない場合
国内地理の暗記が思うように進まない場合、白地図や地図帳を日常的に目に入る場所に貼るのが効果的な方法の一つです。温泉地については「〇〇県に〇〇温泉がある」という単純な暗記より、「北陸の有名温泉地はどこか」という地方単位のまとめを先に作ることで、個別の知識が体系に乗りやすくなります。また過去問でよく出題されている地名から優先的に覚えることも、効率を上げる方法として知られています。
学習のモチベーションを維持するには
独学では学習ペースの乱れやモチベーションの低下が起きやすい時期があります。月ごとの学習目標を具体的な範囲(例:旅行業法第1条~第20条を読む、JR運賃計算問題を10問解く)として設定し、達成ごとに記録を残す方法が継続の助けになります。問題を解いた正答率を記録するだけでも、成長の実感が得られやすくなります。6か月の中間地点となる3月に過去問を1回解いてみて、現状の理解度を確認することも学習計画の見直しに役立ちます。
学習環境の工夫も継続に影響します。特定の曜日・時間帯を「学習の時間」として固定し、習慣化することが長期の独学では特に効果的とされています。また、SNSや勉強記録アプリを活用して進捗を可視化することも、途切れがちなモチベーションの支えになります。
独学と通信講座の選び方
独学が向いている人の特徴
旅行業務取扱管理者試験は独学での合格者も多い試験です。下記のような特徴がある方は独学で進めやすいとされています。
- 学習計画を自分で立ててコツコツ取り組める
- 法律や計算問題が比較的得意
- 参考書や問題集を自分で選んで比較できる
- 学習費用を抑えたい
- スケジュールの自由度を重視する
通信講座を検討すべきタイミング
次のような状況になったら通信講座への切り替えを検討する価値があります。独学の教材で理解できない箇所が増えてきた場合、過去問の正答率が目標水準に達しないまま試験直前期を迎えた場合、学習の継続が難しくなってきた場合などが典型的なタイミングです。通信講座は教育訓練給付金(厚生労働大臣が指定する一般教育訓練・特定一般教育訓練が対象)の対象講座であれば、受講料の一部が支給される場合があります。対象講座かどうかは各講座のページまたは厚生労働省の検索システムでご確認ください。
本番前の最終チェックリスト
- 旅行業法の重要条番号(第3条・第6条・第8条・第11条の2・第18条の3・第79条など)が言えるか
- 営業保証金と基準資産額の額を取引額ごとに区別できるか
- 国内試験がCBT方式であることを前提に、テストセンターでの操作に慣れているか
- JR運賃計算(往復割引・学割・幹線・地方交通線)を手順通りに解けるか
- 約款3種の取消料・宿泊拒否事由・旅程保証を正確に述べられるか
- 過去3年分の過去問を8割以上正答できているか
- 試験会場(テストセンター)の場所・アクセス・集合時間を確認済みか

よくある質問
国内旅行業務取扱管理者試験に受験資格はありますか?
受験資格の制限はなく、年齢・学歴・職歴を問わず誰でも受験できます。試験は観光庁長官が実施するもので(法第11条の3第1項)、受験資格の規定は設けられていません。
独学で合格した場合、資格証書はいつ届きますか?
令和9年度の合格発表日や証書交付時期は全国旅行業協会(ANTA)の公式発表で確認してください。合格証書が交付された後、旅行業者に就職・選任される際には証書番号の届出が必要になります(法第11条の2第1項、施行規則第13条第1項)。
国内試験に合格すると総合試験の一部が免除されますか?
はい、国内旅行業務取扱管理者試験の合格者は、その後の総合旅行業務取扱管理者試験で「旅行業法及びこれに基づく命令」と「国内旅行実務」の2科目が免除されます(施行規則第20条第1号)。ただし免除は申請と資格を証する書類の添付が必要です(施行規則第13条第2項)。申請しなければ全科目受験となる点に注意してください。
令和9年度国内試験の申込方法を教えてください。
国内旅行業務取扱管理者試験の申込はインターネットのみです(書面申請不可)。令和8年度の受験手数料は8,000円(非課税)、システム利用料660円(税込)でした。令和9年度の申込期間・方法は全国旅行業協会(ANTA)の公式受験案内でご確認ください。受験案内の発表前に情報が変わることがあるため、必ず最新の公式情報を参照してください。
6か月計画で途中から通信講座に切り替えることはできますか?
可能です。独学で学習を進めた後、特定の科目や分野でつまずいた段階で通信講座を追加することは合理的な選択肢の一つです。多くの通信講座はテキストと映像講義がセットになっており、独学で身につけた基礎知識があれば講義内容を吸収しやすい状態になっています。利用開始のタイミングや受講期間は各講座の規約を事前に確認してください。
過去問はどこで入手できますか?
全国旅行業協会(ANTA)のウェブサイトで過去問・解答が公開されています。市販の問題集・過去問集を活用する場合は、最新年度の問題が収録されているものを選ぶとよいでしょう。なお解答速報・公式解答は試験後に協会から発表されます。
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