旅行業務取扱管理者試験の学習を進める中で、「標準旅行業約款に出てくる数字が多すぎて覚えられない」と悩む受験者は少なくありません。取消料の割合・変更補償金の率・特別補償の金額など、似通った数字が複数の契約形態にまたがって登場するため、混乱しやすい分野です。しかし、約款の数字は出題パターンが決まっており、体系的に整理すれば確実に得点できる領域でもあります。本記事では、試験に出る標準旅行業約款の数字・期限・金額を一覧化し、効率的な暗記法と出題パターンを2026年最新版で徹底解説します。

標準旅行業約款の構成と出題範囲
標準旅行業約款の4つの部
標準旅行業約款はJATA(日本旅行業協会)が策定し、国土交通大臣の認可を受けた旅行業者が適用する標準的な契約条件です。試験では以下の4部から出題されます。
| 約款の種類 | 対象取引 | 試験での重点論点 |
|---|---|---|
| 募集型企画旅行契約の部 | 旅行会社が企画して旅行者を募集する旅行 | 取消料・変更補償金・旅程保証・特別補償 |
| 受注型企画旅行契約の部 | 旅行者の依頼を受けて旅行会社が旅程を設計する旅行 | 取消料・書面交付義務・旅程管理 |
| 手配旅行契約の部 | 旅行者の指示に従って旅行会社が手配のみ行う旅行 | 取消料・善管注意義務・旅程保証なし |
| 渡航手続代行契約の部 | 旅券・ビザ申請等の代行 | 代行報酬・書類交付 |
試験での出題ウェイトは「募集型企画旅行契約の部」が最も高く、取消料・旅程保証・特別補償のすべての数字がここに集中しています。受注型・手配旅行との比較問題も頻出のため、違いを意識しながら数字を整理することが合格への近道です。
数字が苦手になる3つの理由
約款の数字が覚えにくい原因は主に3つあります。第一に、宿泊旅行と日帰り旅行で日数の区切りが異なること。第二に、旅行開始前と旅行開始後で変更補償金の料率が変わること。第三に、特別補償の死亡補償金が海外旅行と国内旅行で金額が異なること。これらの「似て非なる数字」を混同しないよう、各項目ごとに根拠となるルールを理解した上で数字を覚えることが重要です。
取消料(解除料)の数字を完全マスター
募集型企画旅行の取消料:宿泊を伴う旅行
旅行者が募集型企画旅行を解除する場合の取消料は、解除の時期(旅行開始日からさかのぼった日数)によって段階的に定められています。宿泊を伴う国内旅行・海外旅行に適用される基本料率は以下のとおりです。
| 解除の時期 | 取消料率 |
|---|---|
| 旅行開始日の21日前以前 | なし(無料) |
| 旅行開始日の20日前~8日前 | 旅行代金の20% |
| 旅行開始日の7日前~2日前 | 旅行代金の30% |
| 旅行開始日の前日 | 旅行代金の40% |
| 旅行開始当日(旅行開始前) | 旅行代金の50% |
| 旅行開始後または無連絡不参加(ノーショウ) | 旅行代金の100% |
料率は20%→30%→40%→50%→100%と10ポイント刻みで上昇します。「20から始まり10刻み、最後は100」と数字の流れをリズムで覚えると記憶に残りやすくなります。旅行開始後または無連絡不参加は全額取消料となる点は絶対に押さえましょう。
日帰り旅行(宿泊なし)の取消料
宿泊設備を伴わない日帰り旅行は、宿泊旅行より10日早く取消料が発生する設定になっています。最初の取消料が発生するラインが「20日前→10日前」に変わるだけでなく、前日の料率も異なる点に注意が必要です。
| 解除の時期 | 取消料率(日帰り) | 取消料率(宿泊あり) |
|---|---|---|
| 取消料発生の起点 | 10日前から | 20日前から |
| 起点~2日前 | 旅行代金の20% | 旅行代金の20% |
| 前日 | 旅行代金の30% | 旅行代金の40% |
| 当日(旅行開始前) | 旅行代金の40% | 旅行代金の50% |
| 旅行開始後・無連絡 | 旅行代金の100% | 旅行代金の100% |
日帰り旅行は宿泊旅行と比べて「前日」と「当日」の料率がそれぞれ10ポイント低い点がポイントです。「日帰りは全体的に10%低め、ただし開始後は同じ100%」と整理すると混乱が防げます。
取消料の数字を覚える暗記のコツ
取消料の日数区切りは「宿泊は20・7・前日・当日」「日帰りは10・前日・当日」と短くまとめて繰り返しつぶやくことが効果的です。計算問題では「何日前か」を確認してから料率を決める癖をつけましょう。旅行開始日当日の「開始前」か「開始後」かで料率が50%か100%かに分かれる点は、試験での引っかけポイントとして頻出です。
旅程保証・変更補償金の数字を制する
変更補償金とは何か
変更補償金は、旅行業者の責任の有無にかかわらず(不可抗力を除く)、旅行業者が契約書面に記載した旅行内容の重要事項を変更した場合に旅行者へ支払う補償金です。旅行業者の過失がなくても支払義務が生じる点が特徴であり、旅行業者の過失による損害に対する「損害賠償」とは仕組みが異なります。
変更補償金の計算式と上限・下限
変更補償金は重要事項の変更1件ごとに旅行代金に一定率を乗じて計算されます。旅行開始前と旅行開始後で料率が変わる点が試験で頻繁に問われます。
| 変更が生じた時期 | 1件あたりの料率 |
|---|---|
| 旅行開始前に生じた変更 | 旅行代金の1.5% |
| 旅行開始後に生じた変更 | 旅行代金の3.0% |
変更補償金には以下の上限・下限規定があります。
- 1回の旅行で支払われる合計上限:旅行代金の15%
- 1件あたりの変更補償金が1,500円未満の場合は支払い免除(小額免除規定)
「前は1.5%、後は3%(倍になる)、合計上限はその10倍の15%」と数字の法則で覚えると整理しやすくなります。また1,500円という最低ライン(小額免除)の数字も頻出です。
変更補償金の対象となる「重要事項」の変更
変更補償金が発生するのは、約款に列挙された「重要事項」の変更に限られます。どの変更が対象でどの変更が対象外かの見極めは、試験での頻出問題です。
| 変更の区分 | 主な内容 | 補償金 |
|---|---|---|
| 補償金あり(重要事項の変更) | 旅行目的地の変更、乗機・列車の等級ダウン、旅行日程の変更、旅行サービス内容の変更 | あり(1.5%または3.0%) |
| 補償金なし(不可抗力) | 天候・地震・戦争・感染症等による変更 | なし |
| 補償金なし(旅行業者の過失) | 旅行業者の責に帰すべき事由(過失)による変更→損害賠償責任に移行 | 補償金の対象外(損害賠償) |
「不可抗力→免責・補償金なし」「旅行業者の過失→損害賠償(補償金ではなく)」という切り分けを明確にしておきましょう。不可抗力と過失の区別が試験での出題ポイントになっています。
特別補償の金額を体系的に覚える
特別補償とは何か・損害賠償との違い
特別補償は、募集型企画旅行において旅行業者の責任の有無にかかわらず(無過失でも)、旅行中に旅行者が生命・身体・手荷物に損害を受けた場合に旅行業者が定額で補償する制度です。旅行業者の過失に基づく「損害賠償」とは別物であり、両者の関係は「特別補償で受け取った金額は損害賠償額から差し引く」という控除関係にあります。この関係性は総合試験の難関論点として繰り返し出題されています。
死亡補償金・後遺障害補償金
特別補償の最重要数字は死亡補償金の額です。海外旅行(総合旅行業務取扱管理者試験の範囲)と国内旅行で金額が異なる点が試験で必ず確認されます。
| 補償の種類 | 海外旅行(総合試験対象) | 国内旅行 |
|---|---|---|
| 死亡補償金・行方不明補償金 | 2,500万円 | 1,500万円 |
| 後遺障害補償金(最高・100%) | 2,500万円 | 1,500万円 |
| 後遺障害補償金(最低・3%) | 75万円 | 45万円 |
「海外は2,500万・国内は1,500万」という2つの数字が特別補償の核心です。後遺障害補償金は死亡補償金の3%~100%の範囲で障害等級に応じて支払われます。最低額の75万円(海外)・45万円(国内)も計算問題として出題されることがあります(2,500万×3%=75万、1,500万×3%=45万)。
入院見舞金・通院見舞金
旅行中のケガによる入院・通院に対しては見舞金が支払われます。「見舞金」という名称のとおり旅行業者の過失の有無を問わずに支払われ、入院と通院で支給額・支給条件が異なります。
| 区分 | 日額 | 支給条件 | 支給上限 |
|---|---|---|---|
| 入院見舞金 | 3,000円 | 連続2日以上の入院 | 60日分(最高18万円) |
| 通院見舞金 | 1,500円 | 連続3日以上の通院 | 30日分(最高4万5,000円) |
「入院は1日3,000円・60日まで」「通院は1日1,500円(入院の半額)・30日まで(入院の半分)」と、通院が入院の半額・半期間になる対比で覚えると整理しやすくなります。最低支給日数(入院2日・通院3日)の違いも試験での引っかけポイントです。
携行品損害の補償額
旅行中にスーツケース・カメラ・衣類等の携行品が盗難・破損した場合にも定額補償が受けられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1回の事故あたりの補償限度額 | 10万円 |
| 1件あたりの自己負担額(免責額) | 1万円 |
「携行品は10万・自己負担1万」の2数字を対で覚えましょう。宝石・貴金属・現金・有価証券・乗車券・クレジットカードなどは補償対象外です。この除外品目一覧も試験に出るため、テキストで確認しておいてください。
旅行業法・その他の重要な数字一覧
試験頻出の期限・数字まとめ表
約款の数字に加えて、旅行業法・旅程管理に関わる期限・数字も試験頻出です。まとめて整理しておきましょう。
| 項目 | 数字・期限 |
|---|---|
| 旅行業登録の有効期間 | 5年(期間満了前に更新が必要) |
| 旅行業登録の変更届出期限 | 変更日から30日以内 |
| 旅行業登録取消後の廃業届出 | 廃業日から30日以内 |
| 変更補償金の支払期限 | 旅行終了日の翌日から起算して30日以内 |
| 特別補償の請求期限 | 事故発生日の翌日から起算して2年以内 |
| 旅行業務取扱料金の掲示義務 | 営業所の見やすい場所に常時掲示 |
| 外務員証の携帯義務 | 顧客との交渉・勧誘等を行う際(常時) |
「30日」という数字が変更届出・廃業届出・変更補償金の支払期限に共通して登場します。「30日縛り」と意識するだけで3つの項目をまとめて覚えられます。特別補償の請求期限は「2年」で、旅行業登録の有効期間「5年」と混同しないよう注意しましょう。
数字の暗記を加速させる3つのテクニック
① 対比表で同時に覚える
宿泊旅行vs日帰り旅行、海外vs国内のように「ペア」になっている数字は、一方だけ覚えるのでなく必ずセットで対比表を見ながら覚えましょう。「宿泊は20日前から・日帰りは10日前から」「海外の死亡は2,500万・国内は1,500万」のように、差分となるルール(日帰りは宿泊より10日早い・国内は海外の60%)を把握すると個別の数字を記憶しなくても導き出せるようになります。
② 問題を先に解いてから確認するアウトプット先行学習
テキストで数字を読んでから問題を解くインプット先行型より、初めから問題を解いて「詰まった数字だけをテキストで確認する」アウトプット先行型の方が、約款の数字の定着に有効です。「前日の取消料は40%か50%か」という迷いを実際の問題で体験してから確認することで、「前日は宿泊40%・日帰り30%」という記憶が試験で使える知識として定着します。過去問を1問解くたびに、使った数字を表と照合する習慣をつけましょう。
③ 数字の「法則性」で補助記憶する
個別の数字を丸暗記するのではなく、「変更補償金:前1.5%→後はその2倍3%→上限はその5倍15%」「通院の見舞金と上限日数は入院の半分」のように数字間の法則を見つけると、1つ覚えれば残りが導き出せます。また試験は引っかけ問題が多いため、「似た数字で間違えやすいポイント」に絞って語呂合わせを自作するのも効果的です。既存の語呂合わせより自作の方が記憶に定着しやすい傾向があります。
出題パターン別・よく狙われる論点
取消料の計算問題
「旅行開始日の3日前に宿泊ありの旅行を解除した場合、旅行代金50,000円に対する取消料はいくらか」という計算問題が頻出です。3日前は「7日前~2日前」の区間に入るため料率は30%、50,000円×30%=15,000円が正答です。日数の数え方(旅行開始日は含まない)・日帰りか宿泊かの条件・旅行開始前か後かの確認を素早く行う訓練が合格への鍵です。
変更補償金の「対象か否か」正誤問題
「この変更は変更補償金の支払い対象になるか」という正誤問題も繰り返し出題されます。「不可抗力による変更→補償金なし」「旅行業者の過失→損害賠償(補償金対象外)」「旅行業者の責任を問わない重要事項の変更→補償金あり」の3パターンを場面ごとに即答できるよう練習しましょう。また「旅行開始前の変更は1.5%か3.0%か」という数字の問いも毎年のように出題されます。
特別補償と損害賠償の区別問題
「旅行業者の過失で旅行者が死亡した場合、特別補償と損害賠償はどうなるか」という関係性を問う問題は総合試験の難関論点です。旅行業者の過失がある場合は損害賠償請求権が発生し、旅行者はそちらを選択できます。特別補償と損害賠償の両方が競合する場合は、特別補償で受け取った金額を損害賠償額から差し引く「控除」の規定が適用されます。この控除の仕組みを理解していると、特別補償の趣旨(無過失でも払う最低限の補償)が明確になり、関連問題全体への対応力が高まります。
手配旅行への旅程保証・特別補償の適用有無
「手配旅行契約では旅程保証(変更補償金)も特別補償も適用されない」という事実は試験での定番問題です。これらは募集型・受注型の企画旅行契約に特有の制度であり、手配旅行では旅行業者の過失に対する損害賠償責任のみが問われます。「旅程保証・特別補償=企画旅行のみ」と明記して覚えておきましょう。
よくある質問(FAQ)
受注型企画旅行の取消料は募集型と同じですか
受注型企画旅行の取消料も段階的な料率設定であり、基本的な考え方は募集型と共通です。ただし受注型は旅行者からの依頼を受けて旅程を設計する性質上、取消料の細部(段階の区切り日数)が募集型と異なる場合もあります。試験では「募集型と受注型の取消料規定の比較」として出題されることがあるため、テキストの各部を並べて差異を確認しておくことをおすすめします。
変更補償金の上限15%を超えた損害はどうなりますか
変更補償金の上限(旅行代金の15%)を超える損害が発生した場合でも、変更補償金として支払われるのは上限の15%までです。旅行業者の故意・重大な過失によって重要事項の変更が生じた場合は、変更補償金とは別に損害賠償責任が問われる可能性があります。試験では「変更補償金の上限は旅行代金の何%か」という形で出題されますので、15%という数字を確実に押さえましょう。
特別補償で補償されない携行品はどんなものですか
特別補償の携行品損害では、現金・有価証券(株券・債券等)・乗車券・クレジットカード・宝石・貴金属・時計・毛皮・絵画等の高額品・コンタクトレンズ・義歯等は補償対象外とされています。これらの除外品目は試験で「どれが補償対象外か」という形で出題されます。「現金・高額貴金属・有価証券は補償されない」を基本として覚え、テキストで全項目を確認しましょう。
PR
ユーキャンの国内・総合旅行業務取扱管理者 速習レッスン 2025年版
取消料・変更補償金・特別補償の数字を図表でコンパクトに整理した速習テキスト。約款の頻出数字を一覧化した早見表が充実しており、数字の暗記と理解を同時に進める学習に最適です。
PR
観光・旅行教科書 旅行業務取扱管理者【総合・国内】テキスト&問題集 第6版
標準旅行業約款の条文・数字・出題パターンを詳細に解説した定番テキスト。取消料の計算問題・変更補償金の対象判断・特別補償の金額確認まで、試験で問われる全論点を網羅しています。

